第4代 黒川
氷川きよし君の曲で「~のバイヨン」というのがありますが今日の話題は「バイオン」。です。前の「弾弦の位置」の項の補強をしてみます。
ギターの弦1本について考えてみる。まず、開放弦を弾いてみよう。すると弦は真ん中の12フレットあたりが一番大きくふれているのがわかる。そして音の高さは、この振れが1秒間に何回振れているかで決まる。1秒間に振れる回数が多いほど高く聴こえる。つまり同じ開放弦でも2弦よりも1弦の方が振れる回数が多いというわけ。
次に、ハーモニクスを弾いてみよう。まず1番出しやすい12フレット。12フレットのハーモニクスの音の高さは開放弦の1オクターブ上だ。12フレットのハーモニクスを弾いたときには、開放弦の時とは異なり真ん中の12フレットのあたりは振れていない。代わりにナット(弦の左端を支えている)と12フレットの中間と・12フレットとブリッヂ(弦の右端を支えている)の中間とが一番振れが大きい。この場合開放弦の長さが2等分されて、見かけ上、弦の長さが半分になっている。長さが半分になると振動数は2倍となり、音高はオクターブ高くなる。開放弦の音高に対して2倍音*という。
12フレットハーモニクスのときの12フレットあたりのように弦のなかで振れないところを「節」(ふし)。開放弦を弾いたときの12フレットあたりのように一番振れ幅が大きいところを「腹」(はら)と呼ぶ。ナットとブリッヂはいつも節だ。
次に、5フレットのハーモニクス。これは更にオクターブ高い音が出る。ということは弦長は見かけ上半分の半分つまり4分の1になっているということ。このとき節になっているのは触った5フレット・そして真ん中の12フレット・さらに12フレットとブリッヂの中間だ。節は両端を除いて3つで、腹が4つということになる。このとき腹が1秒間に振れる回数は開放弦のときの4倍になっている。開放弦の音高に対して4倍音*という。
これから考えられること:
- 全部の節を押さえなくても、1箇所触れるだけで弦はそれに合った倍音を出してくれる。
- ハーモニクスのとき、腹の部分を弾けばより音が出やすいのではないか。
- 5フレットの位置は12フレットのちょうど半分の長さではないか。
- 両端は常に節であり、その中間の節と節の間隔同士は同じでないと腹の振れる回数が同じにならないので、ハーモニクスで触れて音になるのは弦長の整数分の1のところになる。12フレットは弦長の2分の1。5フレットは弦長の4分の1のところにある。
さて、ここで演奏に関係のあることに入ってみましょう。
もう一度5フレットのハーモニクス。今度は12フレットとブリッヂの中間に軽く触れてハーモニクスをして5フレットのときと同じ音が出るところを探す。ここは3つの節のうちの1つになる。この場所を憶えておく。再び左手で5フレットに触れてのハーモニクスを弾くが右手の弾弦位置はさっき探した場所を弾く。するとほとんど音が出ない。(右手で12フレットの位置を弾いても同じ。)これはどういうことかというと、倍音の節の位置を弾くとその倍音は出なくなるということ。節というのは振動しないところなので、そこを弾いてしまうとそこが節となる振動ができなくなる。つまり5フレットのハーモニクスの節の位置を弾くと4倍音が出ないということが分かる。そして、4倍音の節の位置というのはその倍々の8倍音・16倍音の節でもあるので、それらの倍音も出ないということになる。
逆に先ほど考察した「ハーモニクスのとき、腹の部分を弾けばより音が出やすいのではないか。」ということも確かめてみましょう。さっき探した節とブリッヂの中間が腹のはずなのでそこを弾いてみる。出やすいはずです。
以上の話はハーモニクスを例にとったものですが、開放弦を弾いたときは両端が節で真ん中の12フレットあたりが腹になる振動(これを倍音に対して基音といいます)以外に倍音も自然と出ているのです。そして倍音の出方が弾弦位置によって変わるというのを見てきたわけです。音色は倍音のまざり具合で決まってくるのです。弾弦位置で音色が変わるメカニズムの一端を見てみました。
注:*2倍音は第1倍音、3倍音は第2倍音、4倍音は第3倍音という。
音色って弾き方で違うけど科学的に分析してるんですね。
力の入れ方や、押さえ方も分析してみたりするのかな?
技術系の見方もおもしろいですね。
左手で弦を押さえる。
この押さえ方を柔らかくすると甘い音が出るようです。
SGMRさんやKNOさんの音を思い出して下さい。
二人ともやさしい押さえ方です。
私の目標です。
それにしてもこんなに深いレベルの記事まで見に来ていただいて感謝です。
ずっと記事をお休みしていたけれど、再開しようかな。
追伸です:
先のコメントで「深いレベル」と言ったのは、
このホームページ上での「検索のレベル」のことで、
記事の「内容が深い」という意味ではございません。
「よく探してこの記事に来ていただきました。」という意味でした。