7月のある日 富士登山リベンジ

                              7代  PIYON
 昨年は、3100m地点まで元気だったのに、そこでの休憩にドーナツを食べた頃から、じわじわと胃の調子が悪くなり、やっとの思いで3400mの「トモエ館」に着くと、いつの間にか頭痛も加わって完全に高山病にノックアウトされ、あと一息だった頂上は断念せざるを得なかった初挑戦でした。
 あの時は悔しさで「来年リベンジ」とは書いたものの、今年娘は行かないと言っているし、さてどうしようか?と迷っている頃、5年間の準備で80才にしてエベレストに挑戦した三浦雄一郎氏についてのドキュメントを偶然見てしまいました。その中で、
「ただ歩くのは勿体無いから、重りを付けて歩いてるんです!目標を持つ事が大切!」
「幾つになっても筋肉を鍛えることは出来る訳です。」と語っているのを聞いて、
「そうだよね。私の方が若いのにこのまま諦めるのは情けないかな。」
オヤッ!そういえば以前にも、
「体力をつけるために、足に重りを付けて歩いているんですよ。」
と話していた人がいた事を思い出しました。記憶をたどると、それは正に雄一郎氏のお父さん(100才までスキー滑走していた方)で、その話を聞いて
「歩きながら筋肉を鍛えるのは一石二鳥!素晴らしい!」
とすぐに飛び付き、早速次の日スポーツ店で片足500gずつの重りを買い、足首に巻いて暫く使っていた自分まで思い出しました。
 そうだった。私もやってたのに!何故、何時やめてしまったのか?あれ何処かに有るはず!この2か月毎日使えば筋力が付いて、もしかしたら富士山頂まで行けるかも!
 そんなこんなで、三浦お父さんに教えてもらいすっかり忘れていた「重り」を、三浦お子さんに思い出させてもらったのも何かのご縁。「迷っているならやってみなさい!」と後押しされているようで、やってみようか!という気分に段々なってきました。
トレーニングといっても
・毎週水、土の2回…母のホームまで往復2時間歩く。
・毎週火…イオンの階段を1~5階まで10往復する。(私にとってかなりキツイデス)
・毎週4回カーブス
・出来るだけ重りを付けて動く。
富士登山説明会への参加
 昨年はネットの情報だけだったので、少しでも生の情報を得るべくある旅行会社の富士登山説明会に参加してみました。その中で役立ったものは以下三個のサプリです。
              
鉄分の補給
鉄分を補給することで、血液中のヘモグロビンんを増やし、
酸素の供給を増やす。
それによって、酸素不足で高山病になるのを防ぐ。
2週間前から1包ずつ飲んでおく。
「これを飲んでいった人は、今まで全員頂上に行けました。」
の言葉につられ、買ってしまう。   


アミノ酸サプリ
心肺機能、持久力、瞬発力、筋肉増強、
疲労回復に効果があるそうです。
筋肉の損傷を回復するので運動前後に飲と、筋肉量が増え、効率よく脂肪を燃焼させ、基礎代謝をあげ、パワーアップ、スタミナアップするのだそうです。              


食べる酸素
これを食べると酸素が増えると思ったら大違い。
これを採ることで、血流がまし酸素を運搬する機能が
高まるのだそうです。




滋養強壮剤
これは、私のアイディア
アミノ酸サプリと一緒に取ると
さらに効果的になるのでは?との思いから。
電話で確かめるとその通りOK。
これで,サポートサプリは万全!
去年よりは、かなり安心感が出てきました。


しかし、こんなにサプリを準備して登れなかったら真っ青ですね!(^^;

コースと日程選び
コースの中で、最短の富士宮口コースか昨年同様一番人気の富士吉田スバルラインコースか大分迷いましたが、小屋も多いし途中まで登っているのでやはり昨年と同じコースにしました。
 日程は、数あるツアーから2つと、全くのフリーで考えました。
①1日目に3400mまで行く。30~40人にガイドが2名。女性安心宣言あり。
②1日目に3200mまで行く。15人にガイドが1名。女性安心宣言あり。
③新宿高速バス=自由登山=予約の小屋泊=自由登山・下山=新宿高速バス
 真夜中登ることが自分にできるのか甚だ迷ったのですが、一度経験してみようと考え、
最少人数で登り、しかも昨年ばて気味になった手前で泊まれる②に決めました。
 また、登る日にちは、昨年8月末で非常に風が強く寒かったことを考え、今年は梅雨明けで多分天候の安定しているであろう7月末を選びました。

いよいよ出発12時半(2300m~)
 30分前にユンケルローヤルC2とスーパーバームをしっかり飲んで準備万端。私達のチームは女性ばかりの11人でした。最年長はたぶん私でしょう。ほとんどが30歳以下とお見受けしました。その中のお一人は、前日再就職先からの内定連絡があり、2日おいて出社となったので、急に思い立ち予約を入れ、ザックや靴等々買い揃えやって来たと言うのです。「思い立ったら吉日」とは言いますが、行動力が凄いです!
呑気におしゃべりをしながら40分。
2400mの六合目に到着
 ここからはジグザグの本格的な登り道になります。高山病対策の三箇条
「ゆっくり!水分の補給!深呼吸!」を心に刻んで進みます。
1回休憩を挟んで2700mの七号目に到着
 昨年の行動食はで固形物ばかりで失敗したので、今年は胃に負担が少なく吸収されやすい物、口の中で溶ける物を選びました。また、汗で塩分が失われ足がつってしまわないように、食塩を持参し休憩の時は必ずなめるようにしました。
七合目から約2時間は岩場を登ります。ユンケルやアミノ酸、食べる酸素タブレット、食塩、ブドウ糖のお陰か…以外に体が動き呼吸が楽に感じました。
昨年のツアーは人数が多く、後ろの方にいるとペースが乱れ大変だったので、今回はできるだけガイドさんのすぐ後ろ順をキープして歩かせてもらったお蔭かもしれません。


3200m八合目「白雲荘」18時到着
 昨年より200m下。時間にして40分前で今回は泊まります。寝る場所に案内されたと思ったら、「夕食を食べてください!」との指示。次々お客さんが着くので、どんどん回転させたいらしいのです。
 昨年食べられなかった夕食のカレーライス。今年は半分食べられました。気持ち悪さも頭痛も無いのですが、なんとなく微妙な体調ではあります。

 夕食後歯磨きに外に出ると、うっとりする夕焼けが見えました。明日の登山指数はCで、登山向きのAに比べると風邪や雨で不向きとなっていましたが、もしかしたら晴れるかもという期待が出てきました。



19時~0時小屋での休息タイム
 田部井淳子さん愛用の「グリナ」で少しは眠れるかと思ったのですが、廊下を歩く足音や新しく到着した人々の声、重なっている布団、狭いスペース等々なかなか寝付けません。どことなく頭が痛く、胃の調子もいまいち…。「寝ている間に高山病が進むから、寝ないで深呼吸している方がいい。」との情報もあったので、少しでも酸素量を増やせるかもと、明日飲む予定の鉄分を飲んで深呼吸しながら、「明日行けるかなぁ?」大分気弱になって横になっていました。
0時起床~0時半出発
 「起きてください!」の声に、リポビタンとスーパーバームをすきっ腹にゴクンと入れ、ダウンコートを羽織り慌ただしく荷物を背負い、真っ暗な中を出発です。
「リベンジだもの行くしかない!」ヘッドランプで照らされた丸い地面だけを見ながら、真っ暗な闇の中をひたすら遅れないように一歩、また一歩。
混まないように平日を選んだのですが、それでも登山道は行列で、広いところは2列になって登っていきます。
 登山指数Cだった筈の天候も、有難いことに夕焼け通り晴れて風も無く、強風で-2℃の体感気温だった昨年とは大違いでラッキーでした。
空は満天の星。「あっ!流れ星!」「どこどこ?」無数に輝く大小の星屑を眺めて休んでいると、苦しい登山の途中であることを一時忘れそうになります。
 昨年の最高地点3400mのトモエ館も通過し、出発から2時間20分経った頃、
「はい。よく聞いて下さい。座って休める休憩はここが最後です。10分砂利道を歩き、あと30分は最後の岩場なので皆で休めるところはありません。苦しくなったら、自分で脇によって休んで、自分のペースで来てください。後ろの人は追い越していいですからね。」どことなくガイドさんの声も緊張気味。ハリ~ここから40分間休みは無いんだ!逆に言うと40分頑張れば頂上に立てるんだ!
「ほら鳥居が見えるでしょ!もう一頑張りですよ!」ガイドさんの声にまた一歩、また一歩。いよいよ最後の急な階段を登り出し、「あーもう駄目かも。気持ち悪い!」貧血を起こす一歩手前のような状況の時、出発から3時間丁度で、やっと頂上につきました。
やったー!リベンジどうにか成功!バンザーイ!!
(「コルディアを飲んだ人は、皆上まで行けました。」というのは本当だったかも。)
頂上で(3時30分~5時)
 日の出の4時45分までは自由時間です。沢山の人達が、何軒もある茶店でトン汁や、みそ汁などを頼み、小屋でもらった朝食のお弁当を食べています。私はうどんが食べたくて頼んだのですが、実際手に取るとおつゆばかり飲んでうどんは半分残していまいました。それにしてもお弁当をムシャムシャたいらげている皆さんの元気にビックリです。
 浅間神社にお参りして、日の出を待ちます。

 太陽の上に雲一つない素晴らしい御来光を見ることができました。お鉢周りに行った人たちは、富士山を挟んで太陽と反対側にある雲に富士山が映る「影富士」というめったに見られない現象を見ることができて、とても感動していました。何のトレーニングもせず前日思いついて来た29歳の女性もしっかりお鉢周りに参加していたので、流石若い!と感心しました。私も来年は1時間半分の体力を残して、お鉢巡りまでできたらいいのですが…。
下山5時~8時

 下山道は溶岩の砂利道で、ジャラジャラずるずる足をとられて滑りそうになったり、前の人の足元から舞い上がる砂埃を浴びながら、単調な道をひたすら耐えて下ります。  
 途中上を振り返ると、急角度にそびえ立つこげ茶色の山頂が晴天の青空と対比してくっきり浮かび上がり、その坂を強い日差しを浴びながら列になって挑んでいる人達が小さく見えました。(携帯では撮影できなかったのが残念!)
「あんなに急だったんだ!よく登れたものだワイン!」思わずつぶやいていました。
真夜中に登るメリットはあるかも!
 今まで夜登るのは危険な気がして、明るくなってから登る方が賢明と思っていたのですが、下っている時の暑さと、急角度で頂上まで続いている道を目の当たりにして見ると、真っ暗で何も先の様子がわからず、しかも涼しい夜の方が登りに向いているのでは?と思えて来ました。
8時五合目到着
 登りは8時間半(休憩を含み)もかかったのに、帰りは途中から自由行動にしてくれたお蔭もあり、紺碧の空のもと、周りの山々や裾野の山中湖辺りの景色に癒されながら、「ソフトクリーム」を目指し、一気に3時間で下山してしまいました。

 五合目付近で、可憐に咲く小さな鬼百合とホタルブクロを見つけました。富士山麓の花の時期は一カ月半と短く、この期間に沢山の花が一斉に咲くのだそうです。



 今回のツアーは、登りは少人数で下山は各自のペースで自由。2日目の11時には五合目を出発し、近くの日帰り温泉で入浴と昼食休憩でたっぷり2時間。それでも新宿には4時半に到着で昨年より早く帰れる中々良い日程でした。
 そして天候に恵まれ「富士登山登頂証明書」を頂けたことは、ラッキー・GOODでした。

(少しでも荷物を軽くするためデジカメは持参しなかったので画像は古い携帯によるものです。お見苦しい点はご容赦ください。)

 余談1
 7月26日から始まったNHK土曜夜9時の『芙蓉の人〜富士山頂の妻』(新田次郎作)をご覧になっていますか?8月16日が3回目で全6回のドラマです。
 明治25年(1892年)、日本の気象予報を正確に把握するために、富士山の山頂に観測所を設置しようと、自分の私財を投じ協力者と共に建築資材を運び上げ、高山病と戦いながら小屋を建て、サプリも便利な登山用品も無い中、厳しい冬に耐えながら富士山の登頂を試み、そこで冬の気象観測に尽力を尽くした野中到とそれを献身的に支え、行動を共にした夫人・千代子との夫婦愛と人生を描いたノンフィクションです。
 何事にも先人の苦労はあるものですが、その強い意志に圧倒されます。

余談2
 幾日か前の新聞に、
「80歳で水中歩行から始めて、今は1500mを泳ぐ100歳の方がいる」と書いてありました。
ワンダフルライフという番組の初回は、
「90歳で100m世界新記録を出し、95歳の大会目指し日々トレーニングを重ねている」という日本女性が取り上げられていました。
 高齢なのに、ビックリするような方々。大正時代のお生まれで戦争時代を経験し、水道、ガス、電気器具、交通手段が今ほど発達していない中、体を一生懸命動かして生活していた事で、自然に体を鍛えてこられた方々でしょうか。
「62歳なんて若い、若い!歳だなんて何言ってんの!」
「富士登山ぐらいで大騒ぎしないでよ!」
「サプリや栄養剤に頼らず、自分の体を鍛えなさい!!」
とはっぱをかけられそうです。(^^;

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