ドーナツに悔いが残る7代 新保
登ってみたい!でも登れそうにない!
年をとって体力も衰え、どんどん富士山から遠ざかっていくと思っていた矢先、世界遺産登録の流れなのか娘が急に誘ってきたので、思い切って「女性限定バスツアー」とやらで行ってみることにしました。
富士スバルライン五合目には10時半ごろ到着。平日なのに登山者でいっぱいです。今の人は新宿のバス待合所で借りる登山用品を受け取り、この五合目の指定店で着替えをし、いらない物はロッカーに置いていくんですー。初めて知りました。私達は、行きも帰りも同じ荷物で山靴なのに。
いよいよ出発(2300m~)
ガイドさんの説明や、ストレッチ体操をし、ほぼ正午に本八合目の小屋を目指して出発。山のプロプロ田部井淳子さんは、筋肉の疲労回復のためにアミノ酸を飲むとの事なので、私達もしっかり飲んでおきました。
六合目到着(2400m)
出発から40分間で到着。五合目との高度差が100mしかないので楽でしたが、
ここからはジグザグの本格的な登り道になります。しかも下は火山岩の細かい瓦礫がジャリジャリで歩きにくいです。
「吸おうと思うのではなく、フーと息を全部吐いて下さい。空気が自然に入ってきますから。」「少しずつでいいから止まらないように歩いて下さいね。」
ガイドさんの言う通り息を吐ききってから吸うと、成程!呼吸が安定します。今までハァハァフーフー息を切らして登っていたのを思い出し、早く知っていればもっと楽に登れたのに…などと思いながら、呼吸も乱れず体も疲れずなかなか快調に七合目まで着きました。しかし、中には足元が安定せずふらついて歩く体調の悪い人も出ていました。
七合目到着(2700m)
記録をしていないので朧げな記憶だけなのですが、七合目手前位から岩場になってきたように思います。2本使っていたトレッキングポール(ストック)を1本にし、片手で岩に掴まりながら八合目までの長い長い岩場の連続を、時として強風に飛ばされそうになりるのを耐え、這うようにして登って行きます。個人で来ている人や外国人も多く、お互いに道を譲りながらそれぞれに登っていました。
最後の急階段を登りやっと聖徳太子が登った謂れによる「太子小屋」のある
八合目到着(3100m)
この時点で4人は離脱したようです。この3100mまで私は不思議と元気でした。ここからはまた溶岩瓦礫のジグザグ坂道です。上を見ると何層にもなった道が、幾つとなく重なって、止めどなく上へ上へ続いているのが見えます。
八合目の休憩では気が緩んだのか、今までになく調子にのって沢山食べてしまいました。特にドーナツの油が良くなかったのか、時々胃が気持ち悪くなり出しました。アミノ酸の補給をするべきだったのか、太ももの真ん中がギュッと締め付けられる痙攣が左足に。そして右足にも起きてきました。歩けるか?こんな経験初めて!足がツッテもマラソン選手が走っていたのを思い出し踏み出すと痛みはあっても動けて、そのうち痙攣はよくなりました。ふ~。
しかし、体はだんだん重くなり坂を登る一歩を出す事の辛さ、遅れ遅れになってやっと最後の休憩にたどり着きました。あーここが一番苦しかった!!
さぁ、あと一息!と言っても40分はかかるでしょう。ガイドさんのすぐ後ろにつき、その一歩一歩に足を重ねながら行くと、先頭はこんなにゆっくりだったんだ!と驚かされます。後ろになればなる程このペースが乱れ、速くなったり止まったりするので疲れてしまうのだ!等々思いながらツイニ小屋到着\(^o^)/
本八合目午後6時半「トモエ館」到着(3400m)
兎に角、休めます。休憩を入れ6時間半!良くもちました。
娘もやはり気持ち悪さと頭痛の高山病になったみたいで、夕食のハンバーグカレーなんてとんでもない。二人とも殆ど食べられません。
外は既に真冬の寒さにプラスし強風が吹き荒れています。外にあるトイレに行くだけでもかなりの覚悟が必要。寒さに備えヒートテックやタイツ、ダウンと更にゴアテックスを着込み、強風に吹き飛ばされないよう足元に注意を払い、細い道を行って帰って来なければなりません。
高山病は寝ているうちに進む・消化するにも酸素!
宿の人は、「寝れば大抵治るから。」と言ったのに、気持ち悪さは治まらず、私にも頭痛が始まり、症状はかえってひどくなってきました。
娘曰く「酸素の薄い所で寝ているんだから、高山病は進むよ。」「消化するにも酸素が必要なんだよ。」という事は、やっぱり3100mでの私が出したドーナツが余計!二人とも食べなければ、気持ち悪くならなかったかも。私の責任大!?
夜中の2時半山頂へ…は断念!
夜になる程に風が強まり、山小屋はガタガタ物凄い音を立てています。夜の気温は2度。それに強風により体感気温はナント―8度とか!
「無理だね!あきらめよう。」私達ほか10名はそのまま小屋で休憩。
多少頭が痛くても2/3の人は、夜中の2時半山頂めざし出掛けて行きました。他のツアーは、強風で引き返してきたのに、私達のツアーは登頂したとの事。これって「初心者ツアー」ではなく中級クラスじゃないんでしょうか?しかしせっかく山頂まで行ったのに、御来光は見えなかったとの事です。気の毒。
3時間で五合目まで下山
一睡もできず夕食も朝食も食べられず、水だけで下山できるか心配していたら、「それまで食べていたんだから大丈夫だよ!」と娘が言う通り大丈夫なものです。溶岩ジャリ道を、砂嵐とジャリ嵐を顔や体に受け、吹き飛ばされそうになりながら、ひたすら下山。上の方で強かった風も、下って来るとおさまって、下界の河口湖、山中湖、裾野の樹海等々眼下一面に広がる景色に心癒されながら更に下山。あんなに苦労して登ったのに、3時間で昨日の出発地五合目に午前10時半到着。高山病は「下りれば治る」と言う通り、いつの間にか治っていました。河口湖畔の温泉で疲れを流し、7時無事帰宅(*^^)v
今回の経験から
・登頂は昼間に…わざわざ真っ暗な夜、御来光目当てに、気温と強風に耐え
登っても見えない時がある。御来光は七・八合目でも見えるので
暖かい日中(それでも20度は低い)に登り、お鉢巡りをした方がいい。
ヘッドライトも必要ないし。田部井さんの言う通り。
・アミノ酸…体の動きが楽になり有効 ・塩+水…筋肉痙攣の即効薬。
・行動食…糖分に偏ったので、塩分系を増やす。スポーツドリンクは甘い。
真水が美味しい。少しずつ食べる。消化の良い物。油系は避ける。
・ゴーグル…砂嵐、ジャリ嵐が目に入るのであると便利。
・トイレ事情…五合目-店内トイレは、行列で時間がかかり1回50円。
案内所は空いていて綺麗で無料。六合目以上は一律1回200円。綺麗。
・小屋で売っている物…水350ミリリットル500円、
酸素缶1500円(下界では500円)その他大抵の物有。
早朝登山の人は、自前では足りず防寒着を500円で借りていました。
・お馬さん…7合目に待機。疲れた人を1時間半で五合目まで運びます。?円
・知らなかった登山事情…温泉から出てくると、スカートやサンダル履きの
街中ファッションに変身。山に行って来たなんて誰も思わない格好で
借りた荷物を返し、皆さん身軽に帰途について行。
・ルートの研究…持ち物ばかり気にして、歩行ルートの認識が甘かった。帰っ
て来てから情報を読んでも後の祭り!高山病は3000mから出る!
一人の女性のガイドさんは、下りだして暫くすると「お疲れ様でした。私は
先に下ります。」と、とっとこ行ってしまいました。下まで行ったら、今日のツ
アーの人達とまた登って来るんだそうです。今年の富士登山は37回目とか!
凄い人がいるものです。流石プロ!!
帰宅の次の日から腰、太もも、脹脛の筋肉痛は半端でなく、下半身はカタンコ
トンのピノキオ状態。しかしそれも3日で元に戻ると、
「何のトレーニングもせず、体力の無い私が3400mまで一気に行けたのは、上出来!いや奇跡に近いかも!」「もう、来ることはないだろうなぁ。体力は落ちる一方だし。。。」と下りてきたのに、「今回は気持ちも知識も中途半端!体力をつけ、ドーナツ無しでやっぱりもう一度リベンジでしょ。」の心に(@_@;)
(歩行中止まっての自由撮影は禁止・充電していった携帯なのに何枚も写せず電池切れ)