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気ままにメッセージ⑨ GUITARRA FLAMENCA その4

―フラメンコとフュージョン―
―パコ・デ・ルシアの音楽の変遷―

第5代 斉藤 登

1 パコ・デ・ルシア(1947~2014)とフュージョン
 パコ・デ・ルシア(本名FRANCISCO SANCHEZ GOMES)は、ジブラルタル海峡に面した港町のアルへシーラスで生まれた。父親や二人の兄弟からギターを習うと同時に、ニーニョ・リカルドから強い影響を受け、そのレコードを聴いて練習に励んだとのことである。7歳からギターを始めわずか12歳で兄とレコーデイングをしたというのですから、凄い。13歳になると舞踏団と一緒にアメリカに行きサビーカスに出会ったようで、その時から音楽的影響を受けるようになったそうである。
 1964年にはソロデビューを果たし、二重奏や三重奏の他、ジャズの世界にも進出していった。1980年代になると世界的に注目されるようになったが、それは、誰にも真似できない高い技術と正確さがあったからに違いない。例えばピカード奏法という強くはっきりとした音を出す技法があるが、パコの演奏はスピードがもの凄い速さで、ピカードとは突き刺すという意味のようだが、まさにその通りなのだ。巧みな演奏技術は、それだけに留まるものでなく、ラスゲアード奏法他それまであったギター奏法を変えるようなものであった。フラメンコの演奏技法の改革者としても有名になった。ジャズやクラシックギターの要素を大胆に取り入れ、ギターの奏法に新風を吹き込んだと言われている。フラメンコの音楽家たちは伝統を重んじ、曲種のリズムパターンをきちんと守ってコンパスを演奏する。そして、独自のフレーズを編み出してファルセータを構成しても曲形式を変えるようなことはしない。これが本来の姿であったが、その本流の姿が変わってきている。フュージョンの音楽というのがあるが、フラメンコの世界にジャズを取り入れたりするフュージョンの世界が生まれてきたと言える。パコ・デ・ルシアは、フラメンコの伝統の世界からジャンルの異なる音楽の世界に入って、フュージョンの音楽を創り上げていったということになる。フラメンコの枠に留まらない新しい音楽の世界を生み出す感性があったのだと思う。ジャズとのフュージョンの世界で、サックス、ピアノ、ベース、ドラム等とギターでジャズフラメンコのアルバムを出したりしている。フラメンコの世界では形式を守ることが重んじられているが、パコ・デ・ルシアはその固定概念にとらわれることがなく、自分の音楽を求めていったわけだ。パコ・デ・ルシアを評価する言葉の中に、「彼がジャズに接近していったのは、ブラジルの進歩的な音楽家たちが、モダンジャズのハーモニーからボサノバという新しい音楽を生み出したのと同じ経過をたどっていったのだ。」がある。パコ・デ・ルシアがこの新しい音楽ともいえるフラメンコとジャズのフュージョンの世界のレコードがあるので紹介する。

2 パコ・デ・ルシアのフラメンコフュ-ジョン
 このレコードは、1980年12月5日サンフランシスコにあるウオーフィールド劇場で行われた、ジョン・マクラレン、アル・テイ・メオラというギタリストとパコ・デ・ルシアとの三重奏のコンサート実況録音盤である。3人のギタリストが、超絶技巧のテクニックの持ち主であることがよく分かる。どの曲も1小節の中に詰めだけ音符を積み込んでいるような構成で、それをまるで曲芸と感じるような速いスピードで弾いている。「速く」「大きく」「強烈に」が印象に残る音楽で、フラメンコとは、大きく異なるジャンルの音楽と感じる。

Side A 1 地中海の舞踏/ 広い河――フラメンコの曲種のルンバフラメンカのリズムで弾かれている。ルンバフラメンカは、キューバのルンバが基になっているようで、パコ・デ・ルシアがフラメンコの形式という制約から離れ自由な演奏をしたいために創ったようだ。そのルンバフラメンカのリズムで、フュージョンの音楽を創ろうとしたのではないかと思う。しかし、ルンバフラメンカのリズムが時折顔をのぞかせるが、速い指使いのフレーズが続きジャズ的な演奏となっている。その演奏は、卓越したギターテクニックの連続で、見事という他ない。音符の数の多さと凄まじい速さで到底楽譜を見てでは弾けないだろうし、楽譜なしでは、頭の中のどこにこの変化に富んだフレーズが蓄えられているのだろうと思わず感心してしまう。その上、それを3重奏で弾くのだから凄い。耳に入ってくる全体的な音の響きは、マイク等の音響効果のためか、フラメンコギターが使われている様子が感じられない。
2 黒い森――映画『ピンクパンサー』のテーマ等が出てくる。映画のワンシーンの動きを表現するような演奏技術(速さと表現)が、見事である。とてつもなく速くギターを弾くテクニックと同時に、3本のギターの呼吸がぴったり合っている。音楽の表現には、「速く弾く~ゆっくり弾く」「音が大きい~小さい」「音符が長い~短い」というような約束があるが、このスーパーギタートリオの演奏は、「速い」「音符の数が多い」「音が大きい」というのがキーワードになってできている。
Side B 1 フレボ――パコ・デ・ルシアの速いスピードの音の連続が続き、その変化が多様でどこにそのフレーズが蓄えてあるのだろうと不思議なくらいである。時折フラメンコのラスゲアードとルンバのリズムが聴こえてくるようで、フラメンコジャズということか。
2 幻想組曲――アルのオリジナル曲を3重奏で演奏している。人間業と思えないような速さでの演奏であっても3本のギターの呼吸が合っている。
3 ガーデイアン・エンジェル――ジョンのオリジナル曲をルンバフラメンカのリズムに乗せて3重奏で弾いている。1本のギターがメロデイーを弾き、1本のギターがサイドギターとなってルンバフラメンカのリズムを弾いている。
<パコ・デ・ルシアの演奏活動>
○ 1976年の演奏は、ギター、エレキベース、打楽器(ボンゴ等)による編成で、パコ・デ・ルシアが独奏する形になっている。ルンバの曲調が流れる中抜群のテクニックが披露されているが、フラメンコの曲種にあてはまらないジャズ的な演奏と受け取れる。
○ また、エレキギター、ハーモニカ、打楽器やパーカッションの編成での演奏では、やはり独奏の形を取りジャズ的な音楽になっている。
○ さらに、アコースチックギターをピックで弾く奏者を加えエレキギターを交えた編成での演奏では、すさまじい速さでの独奏が続き、即興的な演奏もあるジャズ的な音楽になっている。
○ パコ・デ・ルシアが一人で演奏し手拍子二人が加わっての演奏は、伝統的なフラメンコの曲種のどれにもあてはまらないものと思われる。また、伝統的なスタイルとも言えない曲調が披露されていた。まるで、フラメンコと異なる曲のようで、やはりジャズの世界に入り込んでの演奏のようだ。
パコ・デ・ルシアは、スペインで名を轟かせたフラメンコ奏者だが、最近はジャズの世界で活躍していた。そのパコ・デ・ルシアが、フラメンコの様々な曲種をどのようにジャズに生かしているのか聴くことは興味のあることだが、いずれの演奏においてもフラメンコの形式から遠く離れている。フラメンコフュージョンというよりは、ジャズの世界に入ったという感じがする。そのようなことを考えている時、「どんなギターを使っているのだろう。」と気になった。フラメンコギターは、通常側面板と裏板は、シープレスという糸杉が使われていて、ハラカンダやローズウッドが使われているクラシックギターとは音質が大分異なる。フラメンコギターは音が遠くに飛ばないのも特徴で、ジャンルの異なるギタリストとの演奏では、配慮を要することでもある。このレコードにある実況録音での演奏では、音の大きさや強烈さが目立つ必要があるはずで、パコ・デ・ルシアも考えたに違いない。また、パコ・デ・ルシアの音楽的感覚が変わったのだろうということも気になった。強烈なことが突出して表面に出てくる音楽を、パコ・デ・ルシアは、どう考えていたのだろう。

3 パコ・デ・ルシアの伝統的なフラメンコ
 パコ・デ・ルシアはフラメンコ奏者であるから、伝統的な曲の録音もある。それを聴けば、パコ・デ・ルシアが伝統的なフラメンコのスタイルを守り、高度なテクニックを身に付けた一流のギタリストであることが分かる。
FANTASIAFLAMENCA DE PACO DE LUCIA

  A面 リラーナスの調べ――リナーレスは、東アンダルシアにあるアンドレス・セコビアの生まれた町である。この曲の曲種はタランタスで、スラーの連続と不協和音が特徴のフレーズを伝統的な手法で弾いている。どこか悲しげでわびしさのある曲調を、落ち着いた調べで進めている。
私の霊感――アレグリアスを伝統的なスタイルを守って、淡々と弾いている。
ルシアのグアヒーラス――細かい音の連続をはっきり正確に弾いている。
祭りの日のショール――アポヤンドがきつくなく和音が丁寧で、女性が身に付けるショールを優しくイメージさせている。
エル・テンプル――一音一音がはっきりとしていて、ラスゲアードもきちんと整った感じで、ブレリアスのリズムに乗っている。
  B面 パナデロス・フラメンコス――いかにも人々が踊っている様子が浮かんでくるような演奏で、アンダルシア舞曲の感じが理解できる。
月影のヘネラリーフェ――自由な形式の曲で単にギター曲といってもよい曲調になっている。時折グラナデイーナスのフレーズやフラメンコを感じさせるリズムが出てくる。
モゲールの祭――ファンダンゴス・デ・ウエルバの曲である。きめ細かい音の運びで、ラスゲアードの切れが見事である。
鉱夫の嘆き――タランタスの一種のようだが、そのフレーズがあまり感じられない。
嫉いてばかり――ソレアレスのコンパスがよく表れていて、形式をきちんと踏んでいる。

4、パコ・デ・ルシアの軽音楽
 パコ・デ・ルシアは、若いうちからポピュラー曲を手掛け、その後ジャズの世界にのめり込んでいった。伝統的なフラメンコの音楽から離れていったが、その歩みの第一段階が、次に紹介するポピュラー音楽を録音した時代と言えるように思う。フュージョンの世界に至る道のりの第一段階を示しているのではないだろうか。
<RECITAL DE GUITARRA PACO DE RUCIA>

  このレコードは、1972年にパコ・デ・ルシアが来日する前に録音したもので、5人のギタリストとの合奏である。ソリストのようなポジションで、基本的なリズムとメロディーを助ける簡単なフレーズと和音をバックに独壇場の演奏である。録音曲は、本来のフラメンコ曲の形式が2曲で、ポピュラー曲が中心になっている。
エル・ビート――もとは、セビーリヤの踊り歌だそうである。アラベスク風の出だしの独奏で始まり、トレモロで主旋律のメロデイーを弾いている。親しみやすい曲になっている。
私の霊感――「伝統的なフラメンコ音楽」で紹介したソレアレス形式の曲である。
マラゲーニャ――キューバの作曲家エルネスト・レクオネ作の誰もが知っていて耳になじんでいる曲である。1本のギターが主旋律を奏で、合奏で盛り上げる形になっている。
マラガの山なみ――マラゲーニャ風の旋律と合奏の展開である。メロデイー担当とリズム担当のパート別になった合奏である。
即興のルンバ――5本のギターのルンバのリズムに乗って、パコ・デ・ルシアのギターの音が耳に迫ってくる。
ガルシア・ロルカの思い出――スペインの有名な詩人・劇作家の思い出をトレモロの合奏で弾いている。哀愁を帯びたメロデイーと途中から転調したような明るい調子で表現している。
エル・テンプル――「伝統的なフラメンコ音楽」で紹介した曲で、ブレリアスである。
モンテイ―のチャルダッシュ――出だしはメランコリックなメロデイーで、途中から激しいリズムになる。
そよ風と私――はっきりとしたアポヤンド奏法と一音一音の明瞭なトレモロで「そよ風と私」のメロデイーが弾かれている。伴奏のギターのトレモロが曲の流れを支えている。
新しい噴水――テイエントスと紹介されているが、本来のフラメンコの形式ではなくアレンジされている。

<12EXITOS PARA 2 GUITARRAS FLAMENCAS>
2台のギターによる演奏で、スペインのヒットソングが入っている。

マラゲーニヤ――ギターの2重奏にカスタネットが加わることで、フラメンコらしさが出ている。
あなたのそばに――スペインのポピュラー曲である。親しみやすいメロデイーで手拍子(パルマ)がフラメンコらしさを出している。
マリア・デ・ラ・オ――エキゾチックで哀愁を感じる曲である。手拍子が加わりフラメンコ風に弾かれている。
「ノー」と云わないで――サパテアードのリズム乗ってギターのメロデイ―と手拍子や靴音のリズムで曲調を出している。
タンゴ・デ・ラ・ヴィエハ・リカ――フラメンコタンゴ系の曲である。2つのギターのラスゲアードが曲調を盛り上げている。
セヴィリヤーナス・ポプラーレス――フラメンコのセビリャ―ナスという曲種。分かりやすいリズムで親しみやすく演奏されている。
コーヒー・ルンバ――フラメンコ風コーヒー・ルンバである。カスタネットが効果的である。
緑の瞳――スペインのポピュラー曲だが、ブレリアスになっている。
月と闘牛――スペインのヒットソングである。2台のギターが山彦のように応えながら馴染み易いフレーズを醸し出している。手拍子と靴音が効いている。
プエルタ・オスクーラの娘――ポピュラー曲で、靴音と手拍子で始まり、曲の流れに乗ってラスゲアードが締め括りの形をとっている。
黄金の牢獄――ポピュラー曲。どこか悲しげなフレーズが流れ、心の動きを訴えている。
エル・エミグランテ――スペインのヒットソング。とても聴きやすい演奏で、ギターがそれぞれのパートを勝手に弾いているようだが、呼吸が合っている。
二重奏(PACO DE LUCIA y RICARDO MODREGO)
 (PACO DE LUCIA y RAMON DE ALGECIRAS)
   DOS GUITARRAS FLAMENCAS
   EN AMERICA LATINA

  このレコードは、5人のギタリストの伴奏をバックにパコ・デ・ルシアがソリストのように演奏したものを録音したものである。合奏形式でのギターのリズムやメロデイ―に乗って、パコ・デ・ルシアが独自のスタイルで、即興性や華やかさのある音楽を創り
上げている。フラメンコで培われた音楽的な感覚が、ジャンルの異なるポピュラー曲に生かされている。その例をいくつか紹介する。
  A面第1曲目のマラゲーニヤは、キューバの音楽家エルネスト・レクオーナ作曲の世に知られた曲。ここではギターの二重奏にカスタネットを加え演奏している。フラメンコスタイルのギターの演奏に鮮やかなカスタネットの響きが加わり、個性的なマラゲーニヤになっている。
  B面のコーヒー・ルンバは、ベネズエラの音楽家ホセ・マンソ作曲による世界的にヒットした曲で、日本ではザ・ピーナッツが歌っていた。ここでは、フラメンコのリズムや感覚が新鮮さを与え、全く違った印象の曲になっている。 

5 これからのフラメンコフュージョン
 フュージョンとは、音楽の分野での異なる世界にあるものが融合されるということで、特にジャズやロックの世界で展開されているようだが、パコ・デ・ルシアは、フラメンコとジャズをフュージョンした音楽にたどり着いたようだ。冒頭に紹介したスーパートリオライブのレコードにある曲は、全て強烈に速く弾くことの連続で超絶技巧とかギターによる曲芸的演奏といった印象で、フラメンコとは別の音楽の世界になっている。フュージョンをさらに進めた音楽ということか。
パコ・デ・ルシアがフュージョンの音楽の世界に入っていったのは、フラメンコの成立と発展の流れの上に載っているとも言えるかもしれない。フラメンコはロマの人々が移り住んだ土地の音楽を取り入れ、自分たちの音楽と融合させた結果、フラメンコが生み出されたのだからだ。フラメンコ成立から見た時の一つの必然性がフュージョンの音楽にはあるように思う。であれば、フュージョンの音楽は、若いフラメンコギタリストが将来の目標を考える時の一つの指標になっているのではないだろうか。踊りと歌と手拍子とギターからなる伝統的なフラメンコやコンサートスタイルのフラメンコは、スペインの民族音楽としてその地位を保っていくだろうが、フラメンコがフュージョンの世界に生き続ける音楽の世界も残っていくのだろう。パコ・デ・ルシアから影響を受けた若手のフラメンコギタリストに、トマテイートやビセンテ・アミーゴがいる。日本では、沖仁というコンサートスタイルフラメンコ奏者がいる。フラメンコフュージョンは、ギタリストの一つの目標であるに違いない。

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気ままにメッセージ⑧ GUITARRA FLAMENCA その3

―フラメンコの曲種の特徴と分類―
―フラメンコの伝統を保ち続ける音楽を感じさせるギタリスト―
 ○ビクトル・モンヘ・セラニート  ○ファンセラーノ

第5代 斉藤 登

1 フラメンコの曲種の特徴と分類
 11世紀頃北インドを旅立ったロマの人々は、何世紀にも渡りヨーロッパ各地や北アフリカを流浪した。その中でスペインのアンダルシア地方に行き着いた人々はヒターノと呼ばれ、歌・踊り・ギターの伴奏等からなるフラメンコという芸能を創り出した。その中で多くのフラメンコの曲種が生まれたが、それはその土地にあった民謡等の歌が基になっており、曲数は50種程あると言われている。フラメンコのギタリストは、その内の30種程は弾き分けられなければならないようであり、これからその曲種について代表的なものの特徴や分類を考えてみようと思う。
 フラメンコの曲種のうち最も古くからあり中心となっているのは、ソレアレスとシギリージャスである。
 ソレアレスは、ソレア〈単数形〉と呼ばれることもある。ソレアレスは、調性記号の付かないEナチュラル調というミ(E)を基音とする音階で弾かれる四分の三拍子の曲で、3,6,8,10,12泊目にアクセントがある。また、Aナチュラル調というラ(A)を基音とする音階で弾かれることもある。Eナチュラル調は、ソに#が付く場合と付かない場合があり、Aナチュラル調は、シの音が半音下がる。アクセントが3,6,8,10,12拍目にあることから、12拍を1単位として数えるので、4小節で1まとまりとなる。この1まとまりのフレーズを1コンパスと言い、これがソレアレスの曲形式のリズムパターンである。
フラメンコの曲は、Eナチュラル調とかAナチュラル調という長調でも短調でもない音階で曲が創られることが多いが、この他に、ファとドの音が半音上がるF#ナチュラル調やファの音が半音上がるBナチュラル調という音階がある。同じ曲でも様々なキーで弾かれることが多いようだ。因みに、Eナチュラル調は、スペインでは『ミ』の施法と呼ばれている音階で、スペイン各地の民謡や地中海沿岸や中近東にも見られるようである。
 シギリ-ジャスは、Aナチュラル調やEナチュラル調で弾かれる。Eナチュラル調で弾かれる曲は、セラーナスと呼ばれている。シギリージャスは、四分の三拍子の2拍目から始まり四分の三拍子と八分の六拍子が交互に出てくる曲で、1小節の中の1泊の長さが違うのが特徴である。フラメンコのギタリストたちは、この音符の長さの違いを肌で覚えてリズム感を身に付けるのだそうだ。楽譜通りに弾いたのでは、シギリージャスの曲の感じが出てこないことになるし、楽譜を頼ることなどできないということだ。
 ソレアレスから派生した曲種に、ブレリアスとアレグリアスがある。
ブレリアスは、Eナチュラル調とかAナチュラル調で弾かれる曲で、1コンパスが12拍。フラメンコの曲種の中で、最も速く弾かれる曲である。
 アレグリアスは、スペインのアラゴン地方の民族音楽が港町カデイスに持ち込まれ、ソレアレスのリズムと溶け合ってできた曲種である。ソレアレスと同じ12拍のコンパスであるが、フラメンコの音階でなく、西洋音楽のホ長調やイ長調で弾かれる。曲調は明るく、速い。
 ソレアレス系―――― ・ソレアレス  ・ブレリアス  ・アレグリアス
 シギリージャス系――― ・シギリージャス  ・セラーナス
 アンダルシア地方一帯で歌われた民衆の歌にお国自慢を歌う民族舞曲があり、その総称をファンダンゴというそうだ。各土地や歌い手によって様々なスタイルがあり、大まかに明確なコンパスを持ったものと自由な形式のものとがあるとのことだ。フラメンコ舞踏で踊り歌われるのは、明確にコンパスがあるものの方で、特にウエルバ地方のものを指すようで、ファンダンゴス・デ・ウエルバという名称である。軽快なリズムを持つ明るい曲種で、そのコンパスはブレリアスと似ているが、出だしから数えて1,4,5,7,10,11拍目にアクセントがある。
 ファンダンゴの中で、グラナダで生まれたものをグラナディーナス(グラナイーナス)という。創作者は、アントニオ・チャコンという人で、マラゲーニャの旋律を基にして創ったようだ。抒情的な曲種で、ギターでは、繊細さが求められる。明確なコンパスのない自由な形式の曲である。
 グラナディーナスの基になった曲種のマラゲーニャは、マラガのファンダンゴが起源で、自由なリズムの曲である。
 ファンダンゴを起源とした曲で、アンダルシア地方のアルメリアで生まれたのが、タランタスという曲種である。とても不協和音の多い曲種で、ファの音が半音上がるBナチュラル調で弾かれる。自由リズムの場合をタランタと言い、2拍子の曲をタラントというそうである。後者は、タンゴ系になると考えられる。
ファンダンゴ系―――― ・ファンダンゴス・デ・ウエルバ  ・グラナディーナス
             ・タランタス(タランタ)  ・マラゲーニャ
 フラメンコには、アルゼンチンタンゴと違うタンゴという2小節で1コンパスのリズム形式の曲種がある。アンダルシア地方のカディスあたりで歌い踊られていたものが起源のようで各地に広まった。その中で様々に派生し、タンゴス、タンゴス・デ・マラガ とか タンゴ・デ・カデイス、タンゴ・デ・グラナダ等の曲が生まれた。タンゴは2拍子の明るく軽快な曲種であるが、その中のテンポの速いものをタンギージョスと言い、ゆっくりとしたテンポのものをタンゴ・デ・テイエントと呼ぶ。そのテンポのゆっくりしたものの中からテイエントスという曲種が出来上がった。デイエゴ・エル・マルーロという歌い手が創り、エンリケ・エル・メジーソという人が普及したらしい。テイエントスは、1コンパスが2小節の2拍子のリズムで、Aナチュラル調で弾かれることの多い曲である。三連符やシンコペーションがしきりに出てくるのが特徴で、拍子と拍子の間を微妙に長く伸ばして弾くため、粘り気のある物憂い印象を感じる。
 フラメンコの曲の中で最もよく耳にする曲種にファルーカがある。2拍子のはっきりしたアクセントが特徴になっている。また、ファルーカと同じ北スペインの民謡がフラメンコ化した2拍子の曲にガロテインがある。その他タンゴ系には、ラテンアメリカ派生のコロンビアーナやルンバがある。
 タンゴ系――― ・タンゴス  ・テイエントス  ・タンギージョス  ・ルンバ
         ・ファルーカ ・タラント  ・ガロテイン  ・コロンビアーナ
 フラメンコの曲種は、歌が基になってできてきたが、アンダルシア地方の踊りが基になってできたものもある。サパテアードという八分の六拍子の曲種で、歌のつかない踊りが基になっていて、靴のつま先やかかとを床に打ち付けてリズムをつくる。踊りの途中で動作を急に止めてポーズを決める映像は、我々がよく見受けるものである。
 以上代表的なフラメンコの曲種の特徴や分類を見てきたが、フメンコの世界では、これらの曲種のコンパスやリズムをきちんと守って演奏することが重要なことになっている。そうでないとマニタス・デ・プラタのように「フラメンコの本流ではない」との評価を受けることになる。反対にフラメンコの伝統的な音楽の世界を頑なに守っているギタリストがいる。ビクトル・モンヘ・セラニートである。
 
2 ビクトル・モンヘ・セラニート(1942年~ )
  ビクトル・モンヘ・セラニートは、マドリードの生まれで幼少の頃からギターを習い
10歳余りで名を知られるようになった。その後、マリョルカ島の音楽院で学び、1971年にコルドバ市のフラメンコ芸術全国コンクール第5回のコンサートスタイルフラメンコギターの部で優勝した。古くからあるフラメンコ音楽(歌、踊り、ギター、カスタネット等)での伴奏だけでなく、コンサートスタイルのフラメンコでの第一級のギタリストである。
セラニートのギター演奏は、フラメンコの伝統的なスタイルを保ち、高度なテクニックの上に独自の世界を編み出していく音楽と言える。音つくりは地味だが創造力が豊かで、華麗な音符の連続が複雑に絡み合っていく様子は、誰も近づけない名人芸のように感じられる。美しいメロデイーは勿論のこと「よくもこんなに沢山音符を詰め込んだものだと」感心するほど細かい音の連続があったり、技巧的であると同時に音楽性の豊かなギタリストである。
セラニートの卓越した演奏技術は、常に努力を怠らない努力から生まれたもののようだ。彼は小柄で手が小さかったのだが、左指が届かないところでは親指で6弦を押さえたりと絶えず工夫を重ねていたらしい。クラシックギターの巨匠ナルシソ・イエペスからは右手の指(i,m,a)を使った3本指スケールを習い、演奏に取り入れたようである。
セラニートは個人的な演奏技術の向上だけでなく、フラメンコギターの世界での技術革新に貢献したギタリストの一人でもあった。それまであった演奏技術に新しい奏法を編み出し取り入れて、華々しく幅の広いフラメンコの世界を創り出した。新しいギターの奏法や創造的な旋律等の音楽的な展開を編み出したことで、パコ・デ・ルシア等ともにフラメンコのイメージを刷新したギタリストである。
では、ビクトル・モンヘ・セラニートのレコードとその音楽の世界を紹介していく。
VICTOR MONGE SERRANITO   FLAMENCO GUITAR ON PCM
<1967年にセラニートが初来日した時の記念に録音されたレコード>

 収録されている曲は、音楽的にも技術的にも引き込まれるような高いレベルにある。
A面の第一曲目のファルーカは、イントロから美しいメロデイ―ラインが続き、2拍子のファルーカのリズムと細かい音符の流れにきれいなトレモロの響きが加わっている。この曲の演奏の素晴らしさは、ファルーカの曲の形式を崩すことなくセラニート独自の創造的な音楽の世界を創り出しているということだろう。このことは、収録されているソレアレス、ブレリアス、タランタス等の他の曲にも言えると思う。
【A面】

  1. ファルーカ FARRUCA――冒頭のフレーズから思わず耳を傾けてしまう甘美さがあり、途中のトレモロに至って最高潮に盛り上がっていく。華麗なメロデイ―やアルペジオ、ラスゲアード等の演奏は、技巧的なテクニックの高さを物語っている。
  2. ソレアレス SOLEARES――ソレアレスのファルセータから流れるフレーズがその曲調を訴えかけてくるようなギター演奏になっている。
  3. タラント  TARANTO――2拍子にして踊り向けにした曲のようで、タランタスの曲調とは趣が違う。半音階のスケールや不協和音が目立たない。
  4. サパテアード ZAPATEADO――セラニートの指使いの見事さが目立つ。

【B面】 

  1. タランタ TARANTA――タランタスの曲調の半音階のフレーズや不協和音が随所に見られる。古くからあるフレーズにセラニートの感覚が盛り込まれている。
  2. ブレリアス BULERIAS――ブレリアスのコンパスに入る前の冒頭のフレーズにセラニートの感性豊かさが見られる。ブレリアスのファルセータは、技巧の巧みさと創造性を感じさせる。
  3. 三人のモーロ娘LAS TRES MORILLAS――フラメンコの曲というよりは、ギター曲という作品になっている。セラニートのギター演奏は、全てのギター曲に通じると感じられる。
  4. エル・ビートEL VITO――セラニートの感性がきめ細かく、情緒豊かであることを物語っている。

 フラメンコの曲は、1つのモチーフで形を変え展開させていくという構成ではなく、ファルセータ(曲種によって異なるリズムとメロデイ―に基づいて展開されるフレーズ)のセットをつなげ1つの曲を構成していくというやり方で創られている。従って、曲種によって、明るさや激しさといった違いがはっきりしていて、その印象を強く受ける。この特徴を聴き取り、曲の構成を考えながら演奏を聴くこともフラメンコの音楽を楽しむ1つの在り方であると思う。その意味からも、ファルセータに独自の創造的な世界を編み出しているセラニートの演奏は、大きな魅力であるに違いない。
 これらのことが、収録曲の説明に“記念碑的なセラニートの名演”として記載されている。<収録曲の説明から抜粋>
 「まず感じたのは、かれのギター演奏の華麗さです。それは時として、まるで宝石箱をぶちまけたようにこまかい音符で埋められています。こうしたスタイルは、よほどすぐれた技巧と高度な緊張に耐えうる精神力の持ち主でなければ生み出せまいと、つくづく思わせられたことでした。つぎつぎに紡ぎ出されるアルペジオ、息の長いアラベスクのような走句、隋所を締めるラスゲアードの冴え、ときにまじえられる新鮮で大胆なハーモニーこうした音符のきらめきは非常に多彩ですが、そこにはたえず音楽的なコントロールが働いていて混乱を引き起こすことがありません。それと同時に、あらためて感心したのは、彼のギター演奏の重厚さと深みでした。華やかだとはいっても、そこには軽々しく浮ついたものはなく、目のつんだ刺繍じゅうたんとでもいうのでしょうか、ひとつの落ち着いた風格、奥深い感覚がみちみちているのです。しみじみと心のうちに入ってくる優しい歌、トレモロにきく夢のような抒情の流れをかれはもっていますが、必要に応じてまじえる力強く太いタッチと充分な“気合い”を感じさせる間の魅力のおかげで、それはけっして浅い官能の楽しみには終わらないのです。高い弦、低い弦とともに、目立たない中音弦の音のゆたかさが、ちょうど、よいヴイオラ奏者をもつ弦楽四重奏のように、全体の味わいを深めているのも特記せねばなりません」
 セコビアの感想
 若者、“セラニート”が、彼の“トーケ”(演奏)について、私に意見を求めてきた。もとよりフラメンコは私の畑ではないが、私は喜んで次のように言い切ろう。「彼は、行きすぎるとかえって非音楽的な結果を招く不順な装飾を濫用することなく、フラメンコ・ギターの単純でしかも高貴な伝統のうちに身を置いている」と。彼の速い指さばきは、“プテンアード”においては、民衆の感情を正確にかつ風味をこめて伝えている。また、彼の“ラスゲオ”は、息の長いパッセージでは、常によい流れを保ち、短いアクセントづけにおいては、常にリズミカルである。私は、“セラニート”のうちに、最も高名なフラメンコ奏者たちがスペインの内外で得たと同様な、輝かしい栄光の道を予見する。
          1970年6月24日、マドリードにて アンドレス・セコビア
< セラニートが用いたギター>
  セラニートが録音するにあたって用いたギターは、1967年製のラミレスで、セラニートが特別に注文したもののようである。
  ギターは、米杉、もみじ、ハラカンダといった木材でできているが、フラメンコギターは、側板や裏板が通常シープレス(いとすぎ)で作られる。大きさは、クラシックギターとフラメンコギターに、あまり違いは見られないが、厚さはフラメンコギターの方が薄く作られている。音色は大分異なり、フラメンコギターは枯れた音でシャリーンというような音が出る。
  セラニートが注文したギターは、クラシックギターに使われる素材であったりしているため、レコードの音色が、フラメンコギターというよりクラシックに近い感じがする。先ほど紹介したレコードでは、このギターが使われていたようだ。
ギターの素材は、演奏会の会場を考慮して作られてもいる。奥行きのある会場の場合、音が遠くまでしっかり届くことが必要になる。プロのギタリストは、きれいな音を正確に伝えたいと必ず思うに違いないので、セラニートが特別注文したギターは、このようなことを考えて作られたのではないだろうか。次に紹介するレコードでは、通常の素材で作られたフラメンコギターが使われているようだ。
VICTOR MONGE “SERRANITO” LUZY SOMBRA DE LA GUITARRA FLAMENCA VOL.2

 ヘレスのフラメンコは、ブレリアスのリズムがイントロから軽快に流れ、激しい響きを交え展開されていく。次々に流れる音の響きは、これぞブレリアスという印象で、正確なリズム、張りのあるラスゲアード、独創的なメロデイーが、セラニートのフラメンコの特徴を表している。これは、収録曲全てにあてはまることで、迫力のある力強さときめ細かい繊細さが重なって続いても、全体的にバランスの取れた調和のある音楽になっている。
 フラメンコというと、踊り(バイレ)と歌(カンテ)とギター(トケ)による華麗なショーという印象を受けるが、セラニートの演奏はそのフラメンコの世界とは少々違い、派手さがなく音楽的なコントロールが働いている。
【A面】

  1. ヘレスのフラメンコ――ブレリアスの伝統的な形式を守り歯切れよく速く弾いている。ファルセータの中にセラニートの独奏的なフレーズがある。最後の盛り上げがドラマテイックである。
  2. ファンダンゴの変奏曲――ウエルバ地方のファンダンゴを変奏した曲である。細かい音の連続が続きセラニートのテクニックの見事さが表れている。
  3. トリアーナの夜明け――ソレアレスの形式を格調高く守っている。セラニートの生み出したフレーズは、伝統の中に新鮮な感覚があるように感じる。
  4. マラガの味――マラゲーニャの自由な形式の中に美しく感傷的なメロデイーがあり、それをトレモロでさらに浮かび上がらせている。
  5. つまさきとかかと――軽快なサパテアードのリズムに乗ったもの悲しさを感じるフレーズがあり、ラスゲアードで曲調を支えている。

  【B面】

  1. カディスの幻想曲――明るく陽気な曲風のアレグリアスを感傷的なフレーズと細かく美しいトレモロで弾いている。
  2. 感傷と情熱――テイエントスは、微妙な間合いのリズムからもの憂い感じが出てくる曲調であるが、それを確かな技巧で演奏している。
  3. ジプシーの苦しみ――冒頭から、これぞシギリージャスだというラスゲアードの演奏である。
  4. 鉱山の魔性――鉱山の魔性という題名をもの語るようなほの暗い印象を感じさせるタランタのスラーの連続と不協和音が、曲調をよく表している。
  5. ハバナを歩いて――軽快な演奏で明るさと楽しさが伝わってくる。

 次に紹介するのは、4人のギタリストとの協奏やカスタネットとの協奏である。
VICTOR MONGE “SERRANITO” VIRTUSISMO FLAMENCO Ppemio Nacional de Guitappa Flamenca

【A面】

  1. 予感=タラント――抒情的でもの悲しさを感じるメロデイ―で始まる。続くアルペジオ風の細かい音の連続からタラントの曲になっていく。
  2. ヘレスの夜明け=ブレリアス――ブレリアスのリズムを刻む4本のギターが正確で、特にラスゲアードに迫力が出ている。
  3. 羊飼いのロマンセ――シギリージャスのリズムを刻むラスゲアードの音色がクラシック調であっても曲風をよく表している。
  4. 鐘の響きにつれて=カンパニリェーロス――カトリックの信徒が祭の日に宗教歌を歌い歩く風習があるそうで、ラスゲアードにおいても宗教的な感がある。
  5. 三人のモーロ娘――フラメンコギター曲というよりは、単にギター曲と言っていいような曲で、セラニートの音楽性を表している。

【B面】

  1. 霊感=ソレアレス――ソレアレスのリズムに乗せて弾くメロデイ―ラインが細かい音とスラーの連続で、真に音のモザイクと言ってよい。
  2. ヒターナ=カルメン・アマーヤの思い出――美しいメロデイ―のイントロで始まり、ギターの四重奏が女性舞踏家の姿をイメージさせる。
  3. 港に着いて=アレグリアス――明るい曲調のアレグリアスを演奏しながら、情感豊かさと音のモザイクの技巧を見せている。
  4. 爪先とかかと=サパテアード――セラニートの独奏の曲にあるサパテアードのファルセータが、四重奏の中で生きている。
  5. アルメリアの調べ=ファンダンギ-リョ――アンダルシアの東のアルメリア地方にあるファンダンゴを巧みな技巧で演奏している。

2 ファン・ラーノ(1935~)
 モントヤより30年ほど後に生まれたのがファンセラーノで、アンダルシア地方の中央部にあるコルドバ出身とのことである。13才でプロとして演奏を始め、演奏旅行にも出かけ活躍した。コンサートスタイルフラメンコギタリストの一人でレコードの吹込みが多数あるようだが、レコードのケースの裏に「セラーノが弾くフラメンコは、アラビア音楽にそのルーツを探ることができる」とのコメントがあったことからも窺がえるが、伝統的なフラメンコの世界を保ち続けていたように思える。
 セラーノは、ラスゲアードのない曲を弾くことがよくあったようで、クラシック奏法を取り入れた演奏との印象も感じられる。全体的に丁寧で優しく、私には紳士的な感じがした。セラーノの弾く曲は、「即興的なフレーズやリズムの変化が素晴らしい」とか「歌とのバランスが良い」との定評があったようである。

<コルドバの時計台>―コルドバの昼下がりの静寂さの中で、寺院の鐘の音が町の隅々まで届いている感じがする。
<セビリャーナス・セラーナス>―カスタネットと手拍子の正確なリズムが、ギターのラスゲアードと交差している演奏がしつこくなく聞こえてくる。
<ペテネラス・デ・パルテナ>―パルテナという村の娘が歌い始めたという曲だそうで
 抒情的な感じと寂しさが漂う曲である。
<サンプラ・マロキ>―マロキとは、モロッコのことだそうである。アラビア風の音楽で、アルペジオの細かさが目立つ。
<タランタス・デ・ナナ>―タランタスの独特な曲調から伝わってくるどことなくはかなさを感じさせる曲になっている。
<ソレアレスの哀調>―ソレアレスのリズムとファルセータを正確に演奏している。ラスゲアードがしつこくなく聞きやすい。
<ブレリーアス・フエステーラス>―ブレリアスの速いリズムが正確で、メロデイーのバリエーションが個性的である。
<セビリャーナス・フエステーラス>―明るく軽快な曲調を正確なラスゲアードで演奏している。
<アレグリーアスとロメーラ>―正確なリズムときめ細かいファルセータのメロデイーで伴奏している。
<ソレアレス~デ・ファニクイン>―ソレアレスのリズムとファルセータを明快に表現している。
<ルンバ・フラメンカ>―演奏会や催しもののフィナーレを飾るにうってつけの曲である。見事な演奏との印象を感じる。
<ホルムーホのカンパニジェーロス>ルンバ・フラメンカと同じリズムで楽しさを感じさせる。

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気ままにメッセージ⑦ GUITARRA FLAMENCA その2

―アンダルシア地方以外出身の著名なギタリスト及びカスタネット奏者―
○サビーカス ○マニタス・デ・プラタ ○ルセロ・テナ(カスタネット奏者)
(北スペイン) (フランス)     (メキシコ)
―フラメンコの曲種と成立地域―

第5代 斉藤 登

1 サビーカス(本名アグステイン・カステリヨン・カンポス 1912~1990)
 サビーカスは、スペイン北東部のパンプローナという町に生まれたアンダルシア地方以外出身の数少ないギタリストである。サビーカスとはあだ名で「小さな豆」という意味。子供の頃両親に買ってもらったフラメンコレコードを聴いて、一音の間違いなく弾けるようになったというのだからとびっきりの才能の持ち主だったようだ。10歳の時にマドリードでデビューし、18歳の頃には第一級のギタリストと言われ独奏をするようになった。サビーカスが20歳の時に、ギター独奏のレコードを発売したが、1937年にスペインの内乱を避け舞踏団と一緒にメキシコに渡った。そして、その後アメリカに渡り、1940年以降主にアメリカで演奏し名声を得た。「路傍の石でさえ私の名を知っていた。」と自分で言ったそうなので、フラメンコを大いに広めた人に違いないが、パコ・デ・ルシアが登場するとその座を譲っている。サビーカスが録音した曲は300曲を越えていると言われており、そのいずれも独創的で素晴らしいテクニックのある録音と評価されていた。確かにレコードを聴くと細かい音まで音質や音量が揃っていて、速さにブレがなく正確無比との印象を感じる。全てのフラメンコギタリストがサビーカスを模範とし、サビーカスの演奏をコピーすることから始めたと言われていることに異論をはさむ余地はないように思う。
  <TUE MAGNIFICENT ART OF SABICAS>にある「三日月のファルーカ」は、サビーカス自身による二重奏や三重奏が入っているが、サビーカスが第1パートを録音した後、次にそれを聴きながら第2パートを演奏し、それを録音したものを聴きながら第3パートを演奏し録音するというやり方だったようで、凄いの一言である。フラメンコ界には楽譜の読み書きのできないギタリストが多数いたようでサビーカスもその一人であったようだが、そんなことは関係ないことのように思える。
  サビーカスのレコードには、アラビア的な要素がふんだんに盛り込まれている音楽が創作的に入っている。のレコードで言えば、「アルカサバ」や「アラベスカ」である。アラビア舞曲をもとにしてギターで演奏するように作曲されているようだが、ラクダのいるアルカサバの土地の風景が感じられたり、トレモロの響きが砂漠の静かな世界を連想させたりする。東洋風のモチーフでオリエンタルという言葉を思い起こさせる音楽は、サビーカスの世界の一つになっているように思う。
  サビーカスの演奏の最大の魅力は、細かい音が一つ一つ揃っていて綺麗なうえに、テンポが正確無比なことにある。それは、独奏曲だけでなく、他のギタリストとの競演においても言えることで、当時のギタリストは皆一目置いていたに違いないと思う。
  では、サビーカスのレコードを紹介しよう。
  フラメンコでの曲名はリズム形式をタイトルにすることが普通で、曲の形式がそのまま題名として使われている。フラメンコの世界で曲に題名をつけたのは、サビーカスが初めてだったようである。
THE MAGNIFICENT ART OF SABICAS

<三日月のファルーカ>―天才と感じる正確な三重録音で美しい音色が続く。トレモロが特に美しくセンチメンタルなメロデイーを奏でている。
<ジプシーの哀歌>―シギリージャスの曲形式。細かい音の連続を確かな音色で弾いている。トレモロが独創的なファルセータを創り上げている。
<アルカサバ>―アラビア色の強いメロデイーの響きに低音をアポヤンドで繰り返し弾く構成が、アラブ舞曲という名にふさわしい仕上がりになっている。アルとは、アラビア語の冠詞で、アラビア文化が栄えた名残りだそうだ。
<くちなしの花>―ブレリアスのリズムが速く、しかも一つ一つの音が正確でギターの響きを浮き立たせている。
<グラナダのさざめき>-曲の形式は、グラナディーナス。トレモロが美しく、静かでもの悲しくもある。メロデイーラインがはっきりしていて印象的である。
<カディスの物売り>-サビーカスとマリオ・エスクデーロとの二重奏。一糸乱れぬ二重奏で、二人の呼吸が見事に合っている。
<アラベスカ>-モーロ人(アフリカのイスラム教徒)の舞曲が元になっている。アラビア風のメロデイーとリズムが印象的で、カスタネットとの二重奏のように演奏されている。
<カーニャの変奏曲>-サビーカスの力強い演奏が響き、トレモロが控えめで美しい。
<マラガのリズム>-サビーカスとマリオ・エスクデーロとの二重奏。曲の形式は、マラゲーニャ。第一ギターがラスゲアードとメロデイーを力強く弾き、第二ギターが細かく控えめにしかも正確に弾いているのが特徴的である。
<マリア―ナの踊り>-ドロレス・バルガスという女性ダンサーとの共演。歌とカスタネットとギターとの競演との印象である。
<エル・サクロモンテ>-曲名は、グラナダにある地名のようだ。トレモロが細かく美しく伝わってくる。
<エスタンピオの思い出>-エスタンピオとは、男性の舞踏家のようだ。サビーカスとマリオ・エスクデーロとの二重奏である。単音、ラスゲアードに一音一音乱れがない。

THE BEST OF SABICAS

SIDE A

  1. 三日月のファルーカ――<THE MAGNIFICENT ART OF SABICAS に収録>
  2. ガルデニア――<THE MAGNIFICENT ART OF SABICAS に収録>
  3. ボルドネス・グラナデイノス――マリオ・デスクデーロとの二重奏。二人の呼吸がぴったり合っている。特にトレモロが美しい。
  4. ウエルバのリズム――ウエルバとは地名。ファンダンゴ形式の曲の本場と言われる。
  5. ジプシーの嘆き――<THE MAGNIFICENT ART OF SABICAS に収録>
  6. アルカサバ――<THE MAGNIFICENT ART OF SABICAS に収録>

SIDE B

  1. アレグリアス――淡々とアレグリアスを弾いているが、そのファルセータの構成がサビーカス自身の作品と強く印象付けられる。
  2. エスタンピオの思い出――<THE MAGNIFICENT ART OF SABICAS に収録>
  3. バリアシオネス・デ・ラ・カーニャ―<THE MAGNIFICENT ART OF SABICAS に収録>
  4. コロンビアーナ・フラメンコ――テンポよくリズムが刻まれ、軽やかに二重奏が仕上がっている。
  5. テイエント・ア・マジョール・イ・メノール――テイエントスの曲独特の間合いが見え隠れするが、地味な仕上がりである。
  6. ソレアレス――スピーデイーに一音一音の連続が展開され、細かな音のつながりとの印象である。

SIDE C

  1. アラベスカ――<THE MAGNIFICENT ART OF SABICAS に収録>
  2. センテイール・マラゲーニョ――マラゲーニャ形式の曲で、明るく調子の良い気分が出ている。
  3. 真夜中のガロテイン――トレモロが細かい。ギタリスト達があまり取り上げない曲。
  4. タランタ――半音階のスケールが細かい音の連続で繋がり、タランタスの曲調が表現されている。
  5. アラビアの夜明け――「アラベスカ」に似た曲調で、オリエンタルの気分がよく出ている。
  6. プレゴン・ガデイターノ――<THE MAGNIFICENT ART OF SABICAS に収録>

SIDE D

  1. ファルーカ変奏曲――マリオ・エスクデーロとの二重奏。5・6弦の響きが強い。
  2. カデイスの香り――アレグリアスのリズムで正確に二重録音されている。
  3. シギリヤ――シギリアスのリズムで同じようなモチーフが繰り返されている。
  4. ジプシーのロンデーニャ――ゆったりと重々しい演奏である。
  5. マラガのリズム―マリオ・エスクデーロとの二重奏にカスタネットが加わっている。
  6. フラメンコの魅惑――ソレアレスの形式で、古い伝統的なスタイルの曲風である。

GENIOUS OF FLAMENCO GUITAR BEST OF SABICAS

 Side A

  1. ジプシーの悲しみ――タランタスの曲。初めから張りのあるイントロで惹き付けられる。細かいスラーが続き、トレモロが一音一音細かく丁寧である。
  2. つれない仕打ち――シギリージャスのリズムを正確に弾きゴルペで強調している。
  3. 祭りに行こう――ブレリアスの曲で、トレモロの細かさとラスゲアードが対比的である。
  4. 三つのギターのファルーカ――サビーカスによる三重録音で、トレモロの部分で特に正確さが目立つ。
  5. ライオンの中庭――グラナディーナスの曲で、曲全体に物憂げな印象が残る。トレモロが鮮やかでさらに曲の特徴を浮かび上がらせている。
  6. サンタ・マリアの港――アレグリアスの陽気な曲風が伝わってくる。

 Side B

  1. 港は歌う――歌の伴奏だけに止まっていない。
  2. アルカラのソレア――カスタネットで始まり、ギターがソレアレスのファルセータを奏でている。歌の伴奏に加え、カスタネットとの競演である。
  3. 飾りのファルーカ――トレモロが、もの悲しいメロデイーを弾いている。
  4. はしばみ――「はしばみ」は、高さ3メートルほどの落葉樹の木。張りのある金属的な音のメロデイーで始まる。オリエンタルの色彩の濃い曲になっている。
  5. ジプシーの妖怪――哀調を帯びた重々しい響きにカスタネットが加わって、シギリージャスの形式のようだが、ソレアレスのようでもある。

2 マニタス・デ・プラタ(本名リカルド・バラルド 1921~2014)
 フランスのアルル地方生まれで、フランスからほとんど出たがらず、レコードに録音しようとさえしたがらなかったと言われている。しかし、アメリカのカーネギーホールなどでコンサートを開いたそうで、レコードやCDの販売は9300万枚に及ぶという。
プラタの演奏は、フラメンコのリズムや形式にとらわれないところがあり、スペインのフラメンコとは違う音楽と言っていいようなフラメンコギタリストであったらしい。私が20歳の頃のことだったが、「プラタは、フラメンコの本流ではない。」と評されていたのを耳にしたことがある。しかし、<Manitas de Plata Flamenco Guitar>にあるグラナデイ―ナスのように「ドラマテイックな曲の構成や美しいメロデイー」が感じられることから、芸術的な音楽との印象を私は持つ。
  プラタについては、「彼の演奏は、洗練された多彩な表現よりも原始的なシンプルな形の中に没入し、そこに新しい感情移入を試みる人」との評価があった。著名な作家のジョン・スタインベックは、プラタについて「彼は、我々が知っている限りでの音楽のはるか昔のクラシックの古い様式の素材の泉とも言うべきで、とらえがたいほどの見事さをもってコントロールした偉大で野性的な芸術家だ。――」と話したという。また、スペイン音楽に造詣の深いウインセント・シーアンという作家は、「彼は、霊感的なギタリストだ。時として10本の指の弾きだす音は、オーケストラも遠く及ばないという思いに駆られてしまう。この銀の手を持った男の演奏する音楽に比べられるものを私は聴いたことがない。」と話したそうだ。1961年9月号の「タイム」誌は、「銀の手」という題で記事を載せ、演奏の巧みさを讃えたそうである。
  プラタは、画家のピカソとも親交があり、ピカソの画廊で演奏したり、ピカソがプラタの演奏を聴きにアルルの町を訪れたりしたそうである。1964年にピカソがアルルの町に来てプラタの演奏を聴いたときには、感動の余りプラタのギターに闘牛士の絵を一気に描いたそうである。そのプラタの名演を感じさせるレコードを紹介しよう。

<Manitas de Plata Flamenco Guitar>

A面

  1. ブレリーアス――テンポの速いリズミカルな曲調になっている。プラタのブレリアスである。
  2. グラナデイ―ナス――哀調のあるドラマテイックな仕上がりになっている。アラビア的な香りがあり、グラナデイーナスの自由な曲風に新鮮さを加えている。
  3. タランタス―トレモロの細かな響きとタランタスの不協和音とが印象的である。
  4. アレグリアス・デル・カンテ――プラタの独奏的なアレグリアスである。
  5. セビリア―ナス――プラタが歌っているとのことである。陽気で明るい。

 B面

  1. ソレアレス・ヒターナス――ギターで激しくリズムを打ち鳴らす感じである。
  2. プラタのモリタス・モラス――「モリタス・モラス」とは、「ムーア人の娘」という意味のようだ。軽やかなイントロで始まり、細かいトレモロからしまりのあるラスゲアードで歌に繋がっていく。訴えかけてくるような歌唱と淡々としたリズムを刻むギターが溶け合っている。
  3. ファルッカ――イントロがスケールの連続というメロデイーラインで、ファルーカのリズムに繋がっていく。
  4. ホ タ――プラタが歌っているようだ。陽気な曲である。

3 ルセロ・テナ(1936年~ )
 ルセロ・テナはフラメンコのカスタネット奏者で、カスタネットの女王と呼ばれていたほどの超絶技巧の持ち主である。スペインでは、人間国宝並みの扱いを受けていた。
メキシコ生まれで、元々はフラメンコバイレ(ダンサー)でありカルメンアマヤの弟子となって舞踏団に在籍していた。4歳の時から舞踏を学び、さらにロシア舞踏を6年間学んだ後フラメンコ舞踏を習ったようである。
 カスタネットは古代ローマ時代から踊りに使われていたようだが、フラメンコでは、左右一対からなる2個のカスタネットを使う。叩き方は、中指と薬指を使って力強く打つ叩き方、小指から薬指・中指・人差し指へとギターのトレモロのように細かくたたく連打音 等があり、これらを左右の手で使い分けたり強弱を加えたりするのだそうだ。
  このカスタネットを単なる打楽器としてだけではなく、独奏楽器としたのがルセロ・テナで、マドリードのタブラオや世界各地で公演したようだ。また、独奏家として、クラシックの管弦楽コンサートで正確かつ自由奔放に演じたというのだから凄い。スペインの有名な音楽評論家たちは「スペイン舞踏のアクセサリー程度にしか思われていないこのリズム楽器がコンサート用のソロ楽器になり得ることはあまり信じられぬことかもしれない。」とか「彼女は、他の器楽独奏畑の大家たちに比べることのできるカスタネットの名手だ。このように見事なカスタネットの芸術を我々はかって聴いたことがなかった。」と評したそうだ。

<PALILLOS  FLAMENCOS>
これから紹介するレコードにも、その素晴らしさが表れている。ルセロ・テナには、名手と言われるほどの技巧の他に天性のリズム感が備っている。レコードのB面にある「グアヒーラス」のカスタネットの連続音は、「確かな指さばき」と頷かずにはいられないだろうし、飛び抜けた技巧の持ち主であることが分かる。また、「蜂雀」では天性のリズム感で、蜂雀の動きを見事に表現している。

【A面】

  1. 聖なる小箱(アレグリアス)――セラニートのギターは、一音一音がきれいで、ラスゲアードが歯切れ良い。ルセロの足さばきの音が耳を惹きつける。
  2. 肉桂はもっと褐色(ブレリアス)――セラニートのブレリアスであることがよく分かる。ギター、歌、靴音、手拍子がよく溶け合っている。
  3. 気も狂いそう(ソレアレス)――ギターによる前奏から、軽やかに細かくソレアレスのリズムが響いてくる。
  4. ギターよ奏で続けよ(ウエルバのファンダンゴ)–カスタネットの響きがはっきりと強い。
  5. サパテアード―セラニートの独奏とファルセータと靴音で音楽が出来上がっている。

  【B面】 

  1. 死をも恐れない(シギリアス)――カスタネットとギターと歌で構成されたシギリアスである。
  2. 天も地もふるえる(ベルデイアーレス)――調子のよいリズムである。
  3. 私のキューバ娘(グアヒーラス)――キューバの踊り歌が、港町カデイスでフラメンコ化した曲。カスタネットの細かい音の連続が、技巧の巧みさを物語っている。
  4. 青銅の格子窓(テイエントス)―ルセロの踊りの靴音とギターが共演しているようだ。
  5. 蜂雀――ルセロのカスタネットとセラニートのギターが蜂雀の動きを細かく表現しているようで、見事というほかに言葉がない。

4 フランコの曲種と成立地域
 フラメンコは、アンダルシア地方に移り住んだロマの人々が創り出し、スペインを代表する芸術として盛んになった。その中で、アンダルシア地方を中心に、昔からあったその地方の民謡等を基に多くの曲種が生まれた。フラメンコにかかわった人々の手によって様々に編み出されてきたものと言えるが、時には国外から入ってきた音楽を取り入れたものもあった。そこで、50を超える曲種があると言われるフラメンコの曲種についてその代表的なものを取り上げ、その成立地域を見ていきたいと思う。

<アンダルシア地方が発祥>

  • ソレアレス
  • カデイス(カディス湾に面している港町)、セビージャ(セビーリャ)、コルドバのあたりで一つのスタイルが出来上がった。フラメンコのもっとも古い形の曲種で、Eナチュラル調という音階で弾かれる四分の三拍子の曲。12拍が一つの単位になっていて、アクセントが 3・6・8・10拍目にある。

  • ブレリアス
  • ソレアレスから派生した曲種で、へレスが本場と言われている。フラメンコの曲の中では最も速いテンポで弾かれる「祭り」に欠かせない曲。

  • アレグリアス
  • カデイスで生まれた曲で、喜び(alegre)が語源。アラゴン地方のホタという民族舞踏音楽がソレアレスのリズムと溶け合って出来上がった曲種。

  • シギリージャス
  • フラメンコのもっとも古い形の曲で、セビージャ・カデイス・ヘレス地方で弾き継がれてきた。四分の三拍子と八分の六拍子とが交互に出てくる曲。

  • セビジャーナス
  • セビージャで生まれた舞踏曲が起源の曲種である。踊りの入門に使われる。

  • タンゴス
  • アルゼンチンタンゴとは全く異なるもので、古くからカデイス周辺で演奏されてきた。2拍子で弾かれる明るく調子がよい曲。各地で派生し、例えばマラガでは、タンゴス・デ・マラガとして一つの型が生まれた。

  • タンギージョス
  • カデイスで盛んになった四分の二拍子の曲で、タンゴスが原形。

  • テイエントス
  • カデイスが発祥の地。タンゴスの一種で二分の二拍子の曲。ゆっくりと弾くタンゴをタンゴ・デ・テイエントと最初呼んでいたが、その後テイエントスという曲種として出来上がった。

  • サパテアード
  • アンダルシア地方の曲で、靴音という意味。四分の二拍子の曲で、タンギージョスのリズムを使う。

  • カンパニジェーロス
  • アンダルシア地方の宗教音楽がフラメンコ化したもの。

  • ファンダンゴス
  • アンダルシア地方一帯で人々が歌っていた舞曲が元になってできたと言われる。港町マラガ周辺が発祥地で、ロマの人々が様々にバリエーションをつけて発達させた。ファンダンゴス・デ・ウエルバは、ウエルバ地方のファンダンゴという意味。

  • マラゲーニャス
  • マラガの民謡を元に出来上がった曲。ファンダンゴスから派生した曲

  • グラナイーナス
  • グラナダ地方で起こった曲で、ファンダンゴスの一種である。アントニオ・チャコンという人が、マラゲーニャの旋律をもとに創作したようだ。

  • タランタス
  • アルメリーア地方(鉱山地帯)で生まれた曲で、ファンダンゴスから派生した。不協和音が多く使われていて、ほの暗い印象を感じる曲。

  • カーニャ
  • セビージャ・カデイスで起こった古くからある曲。リズムはソレアレスが原形。

<アンダルシア地方以外の地が発祥>

  • ファルーカ
  • 北スペインの民謡から出来上がった二分の二拍子の曲。カデイス地方の色彩が加わってフラメンコ化したもの。カデイス地方が発祥とも言える。

  • ガロテイン
  • 北スペインのアストウリアス地方の民謡が起源の陽気で明るい曲。

<スペイン以外の国から入ってきた曲種>

  • グヮヒーラス
  • キューバから入ってきた曲で、四分の三拍子と八分の六拍子が交互に出てくる。

  • ミロンガ
  • アルゼンチンから伝わってきた曲

  • ルンバ・フラメンカ
  • キューバのルンバのリズムがフラメンコ化したもので、パコ・デ・ルシアが創り出したと言われる。二分の二拍子の曲で、ショーの幕開けやフィナーレでよく使われる。

  • コロンビアーナス
  • キューバのハバネラやタンゴの影響を受けた曲、タンゴス系の2拍子の曲。

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気ままにメッセージ⑥ GUITARRA FLAMENCA その1

―コンサートスタイルフラメンコの成立とその担い手―
 〇カルロス・モントヤ   〇ニーニョ・リカルド

第5代 斉藤 登

 気ままにメッセージは、今回からGUITARRA FLAMENCAと題した内容で掲載していく。コンサートスタイルと言われるギター中心のフラメンコについて、その発展に貢献したギタリストたちを紹介しながら見ていくことにする。

1 私とフラメンコギター
 私がギターを弾き始めたのは、埼大ギター部に入部した時からだった。最初の頃、講義終了後の教室を使って、皆で基礎練習を繰り返していたことを今でも鮮明に覚えている。そのうち合奏曲の練習が始まるとギターを弾く楽しさを感じることができたが、皆で合わせて弾く難しさも味わった。合奏曲の中で特に印象に残っている曲は、昨年11月9日第4回トレド合奏団発表会での演奏曲「小雨降る径」で今でもはっきり記憶に残っている。同じように今でも記憶に残っているのがフラメンコギターで、クラシックと異なる世界のギター音楽との印象を持った。同時に、日本の民族音楽である民謡とも全く違う感情表現のようにも感じた。そういうような思いを感じているうち次第に習ってみたくなり、一年足らずではあったがフラメンコギター教習った曲はブレリアスだったが、今ではそのリズム位しか覚えていない。
 その頃、新宿にあるエルフラメンコに行って本場のフラメンコの世界を見てきたことがある。歌と踊りとカスタネットや手拍子、そしてギターで構成されたショーで、スペインの酒場で演じられているものに近かったように記憶している。ギターは専ら伴奏をしていたが、踊りの合間にメロデイーを弾くこともあった。スペインの民族音楽というのは、感情表現が激しく華々しい世界というのが、率直な感想だった。
 その頃からレコード屋に通うことも多くなっていった。新宿のレコード屋には歌が中心のフラメンコはあったが数が少なく、独奏や二重奏、三重奏等で演奏されるコンサートスタイルのフラメンコのレコードの方がずっと多かったように思う。コンサートスタイルというのは、ギターが中心となって演奏されるフラメンコで、カスタネットや手拍子(パルマ)が伴うことはあるが、歌や踊りが共演されることは少ない。私にとってより興味が湧いたのはコンサートスタイルのフラメンコだった。今回から掲載するGUITARRA FLAMENCAで取り上げるレコードの演奏家たちは、ほとんどがコンサートスタイルのフラメンコである。コンサートスタイルの成立に関わった演奏家とその後に活躍した演奏家について昨年亡くなったパコ・デ・ルシアの年代まで紹介していく。
 では、私が購入したレコードにあるフラメンコの様々な曲種について考察しながら、その音楽の世界を見ていく。

2 カルロス・モントヤ(1903~1993)
 カルロス・モントヤは、20世紀に活躍したフラメンコの黄金時代を築いた演奏家の一人である。スペインの首都マドリード生まれで、8歳でギターを弾き始め13歳で大衆の前で演奏したそうである。フラメンコギターの独奏家として名を馳せた最初の人であったようで、それまで伴奏楽器だったギターを独奏楽器とした人ということになる。スペインで最初のコンサートスタイルの演奏家であったと言われている。因みに、叔父のラモン・モントヤ(1880~1949)が、1936年に史上最初のギターソロを録音したので、フラメンコギターによる独奏の創始者であるとの見方もある。
 カルロス・モントヤの演奏は、古いギターの奏法を守り古典の格調を伝えていると言われているが、ギター奏法は特異であった。ギターの第3フレットにカポタストを付け、カポタストを付けない時と同じ音の高さに調弦して弾いたと言われている。従って、緩めた状態になっている弦を弾くことになるわけだから、テンションの緩い低い音での演奏だったはずである。私も同じようにしてギターを弾いてみたが、弦の振幅の幅が大きく音自体が緩んでいるような感じがした。特に5弦6弦で強く感じられるようで、音の響き方が伸びたように聞こえる。通常の調弦の方が音に張りがあり、音がはっきりとしていて明瞭感を感じる。
 この写真では、ギターを左足の上に乗せているようにも見えるが、カルロス・モントヤは、ギターの最も幅の広い部分を右足にのせて弾く伝統的なフラメンコギターの持ち方であったと言われている。
実際にレコードの演奏を聴いてみての第一印象は、技巧的で伝統的な格調のある演奏となっているように感じられたことだった。
THE GREAT HITS OF FLAMENCO GUITAR

  • マラガ
  • 流れるような音の連続とトレモロの響きが印象に残る。モントヤが少年の頃におぼえた民謡の旋律が含まれているらしい。スラーの連続とトレモロの響きが素晴らしい。

  • ファルーカ
  • 初めからラスゲアードが歯切れよく響き、細かい音の連続とトレモ
    ロの流れがアラビア風の音色を醸し出し抒情的な曲調になっている。

  • タンゴ・アンテイグオ
  • 曲名は昔のタンゴという意味のようだが、テンポとリズ
    ムがテイエントスの曲調になっている。

  • レバンテ
  • 曲名は、東部地方という意味のようだ。タラントの曲調になっている。

  • セギリア
  • 曲名は、シギリージャスの訛りの発音らしい。シギリージャスの元々
    の形のようだ。

  • ブレリア・ポル・ソレア
  • 指鳴らし(ピトス)で始まり手拍子とギターの共演と
    いった仕上がりになっている。ブレリアスのリズムで演奏されている。

  • サエタ
  • セビーリャの庶民の聖歌にある祭りの行列が通り過ぎていく様子を、モ
    ントヤがフラメンコ風に弾いている。

  • ソレアレス
  • フラメンコの中心となる曲種を伝統的なスタイルで演奏している
    との印象を受ける。

  • ソレア・ポル・メデイオ
  • 連続的な音のつながりの中で、ソレアレスのリズムが
    はっきりと打ち出されている。

  • フイエスタ
  • フイエスタとは、フラメンコの踊りと歌とギターの共演を意味するよ
    うだ。ラスゲアードが古い奏法との印象である。

  • グラナダの民謡
  • ノスタルジックなメロデイーが、トレモロとラスゲアードで演
     奏されていて、古い都の面影が出ている。

  • ホ タ
  • スペインの民謡をフラメンコの音色で打ち出している。

3 ニーニョ・リカルド〈1905~1972〉
 ニーニョ・リカルドは、アンダルシアのセビーリャ生まれで、本名は、マニュエル・セラビ・サンチェスと言う。ラモン・モントヤ(カルロス・モントヤの叔父)の影響を受け、それまでのフラメンコに「新しい洗練された感覚」を取り入れたと言われる。美しいメロデイ―と情感を感じさせる演奏が、「新しい洗練された感覚」と言われる所以だろう。そのためか、ビクトル・モンヘ・セラニートはじめ次の世代のギタリスト達が真似をして手本としていたようである。パコ・デ・ルシアが、「ギターの師」と言ったそうであるから相当なものと思う。14歳の時にタブラオでデビューして名声を上げた。人柄が人情味に溢れ飾り気のない人で、油絵を描くのが趣味だったようだ。
 リカルドの使ったギターは、弦高が低いのが特徴だったそうで「今日では見られないほど」というので、演奏に表れているのではないかと思い、改めて聴いてみた。そのレコードを紹介する。
TOQUES FLAMENCOS DE GUITARRA

  • シギリヤス
  • フラメンコの最も古くからある曲種のシギリヤスを正統派と感じさせる演奏で弾いている。シギリヤスの特徴的なラスゲアードによるリズムは、伝統的なスタイルの印象である。

  • ソレアレス
  • ソレアレスのリズムとメロデイーの流れが細かい連続音で表現されていて、当時の若者が手本としたことの分かる演奏になっている。

  • アレグリアス
  • 明るい曲調のアレグリアスをその通りに演奏している。

  • グラナイーナス
  • グラナイーナスとは、グラナデイーナスのアンダルシア風の発音である。トレモロで弾かれているメロデイーが、グラナダの民謡が元になっていることを感じさせる。

  • タランタス
  • 半音階の連続や不協和音が、タランタスの曲の特徴をよく表している。

  • テイエントス
  • 三連符の連続と強弱のずれが、テイエントスの曲の特徴をよく表現している。

  • ブレリアス
  • ゴルぺの音そして歯切れよいリズムに乗った音色とラスゲアードが曲の特徴をよく表している。

  • マラゲーニャス
  • 低音を親指のアポヤンドで弾く奏法とアルペジオ風に弾かれるメロデイー部分が曲の特徴をよく表している。

  • ファンダンゴス
  • ファンダンゴスとは、本来スペイン各地にある民族舞曲や歌曲を指すようだが、ここでは、初めからラスゲアードで強く弾かれ、トレモロとの対比が印象的である。

  • サパテアード
  • 靴音でリズムを作る曲で、フラメンコの舞曲から出来上がった曲種である。

4 フラメンコの起源とコンサートスタイルフラメンコの成立
 ①ロマ民族の移動
 「ロマ」とは、北インドに元々いた民族のことで、ヨーロッパ各地に移動し定住した人々のことである。1427年にパリに現れた彼らはエジプト出身と名乗ったようで、エジプトからやってきた人という意味の「エジプシャン」と呼ばれていた。そのうち、その頭文字の頭音が消失して、ジプシーの名称が付いたようである。しかし、ジプシーという呼び方が差別用語になったため、現在は「ロマ」と言い換えられるようになっている。
 このロマの人々は、15世紀にヨーロッパに広がっていったと言われている。その年代を調べてみると、1416年-ハンガリーに到達、1418年―スイスに到達、1422年―イタリアのボローニャに100名ほどが到達、1427年―フランスのパリに到達、1447年―スペインのバルセロナに到達、1505年―イギリスに到達 とあり、一世紀ほどをかけて広がったことが分かる。
 フラメンコを創り上げた人々はこのロマ民族の一部で、スペインのアンダルシア地方に定住しフラメンコ音楽を創り上げた。「タブラオ」と呼ばれる酒場でのフラメンコショーは、海外からの旅行者の見学目的の一つになっているほど有名になっている。
 では、フラメンコという民族音楽を創り上げた人々は、どういう経路でスペインに入っていったのだろうか。記録には、ロマの人々は1447年にバルセロナに到達したとあるが、その経路については、フランスを経由して行ったとすることがまず考えられる。しかし、フランスとスペインの国境には、中央部に2000メートル級の山や西部に1000メートル級の山が連なるピレネー山脈があり、そこを通って行ったと考えるのには疑問が残る。
 すると、海岸や海を渡って行ったと考えることができるが、どうだろうか。
 ここでスペインの地図を見てみよう。

 バルセロナは、カタルーニャ州にあり、しかも地中海の海岸近くにあるので、地中海の海岸べりを渡って行った可能性はある。しかし、これは、全くの私見であるので、素人判断の域を出るものではない。
 スペインのアンダルシア地方に定住したロマの人々の移動については、別の考え方がある。それは、インドから出た後、スペインに行った人々には、アフリカの北部を通ってジブラルタル海峡を渡って行った集団があるとする考え方である。アンダルシア地方はスペインの南方にあり、ジブラルタル海峡を隔ててモロッコの対岸にある。その地理的状況を考えた上のことであろう。モロッコとスペインの間は、10km余りである。正確に言うと、イベリア半島最南端のタリファ岬とモロッコのアルカサル・エ・セリルの間が最も狭く、14kmである。船で渡るには、それほどの困難はないと思われる。

ジブラルタル海峡

モロッコ側から見たジブラルタル海峡とスペインのアンダルシア地方

 アンダルシア地方は多民族の地域のようで、イベリア半島の先住民のイベロ族、フェニキア人、ギリシャ人、カルタゴ人、ローマ人、ゲルマン人、モーロ人等の多民族が入り混じっている。これは、歴史的に古くから人々の交流・移動があったことを物語っている。この地域は、キリスト教やイスラム教の交錯した歴史があり、また、文化の交流や交易があったことも移動ルートの根拠として考えてよいものと思う。近東に生まれたギターという楽器が、アラビア人によってスペインに伝えられたことからもうかがい知れる。
②フラメンコの起源
 フラメンコは、スペインのアンダルシア地方に古くから伝わる民族芸術である。ロマの人々が民族移動をしていった中で、スペインのアンダルシア地方に定住した人々が創り上げたものと言われる。ロマの人々がスペインに移動していったのは、15世紀のことであるが、フラメンコの土台となるジプシー歌謡が生まれたのは、18世紀の後半の頃らしい。当初のフラメンコの形は歌が中心であったようで、それに踊りや手拍子が加わっていったと考えられる。その音楽には、アンダルシア地方に昔から伝わる音楽とアラビア他のオリエンタル音楽の要素があり、その上にロマの人々の創作がある。現在フラメンコには、最も古くからあるソレアレスやシギリージャス等の他様々な曲種があるが、そのほとんどは歌から始まったと言われている。
 フラメンコは、歌と踊りと楽器からなるショーの形で演じられていることが多い。スペイン観光の目的の一つになっているタブラオでのフラメンコを見れば分かる。歌や踊りの合間にメロデイ―を奏でることはあっても、ギターの役割は伴奏になっている。ギターはアラビアからスペインに伝わり1000年程前頃から大衆に広まっていったようであるが、フラメンコの誕生と同時にその伴奏楽器となったということである。そして、歌と踊りとカスタネットや手拍子等とともにフラメンコを構成するものとなっていった。因みに1842年には、セビーリャにフラメンコの歌や踊りを見せる酒場(タブラオ)ができたそうである。
③コンサートスタイルフラメンコの成立
 フラメンコは、元々歌と踊りが中心で、それにギターや手拍子等が加わって出来上がっていった。そこで使われているギターは、伴奏することが目的であり役割だったわけである。そのフラメンコの世界で、ギターの独奏をするギタリストが出てきた。それがラモン・モントヤやカルロス・モントヤで、フラメンコの世界で最初の独奏者となった。コンサートスタイルフラメンコの生みの親となったわけである。カルロス・モントヤが生まれたのが1903年だから、スペインでフラメンコのショーが見られるようになってから50年以上経ってコンサートスタイルのフラメンコが成立したことになる。
<フラメンコの成立とコンサートスタイルフラメンコの確立>

  1. 北インドを出てスペインのアンダルシア地方に到着したロマの人々は、その地域にあった音楽を取り入れてフラメンコ音楽を創り出した。そして、1942年頃から酒場(タブラオ)でフラメンコを演じるようになった。そのフラメンコのショーは、歌(カンテ)や踊り(バイレ)が中心で、ギターは、伴奏楽器だった。
  2. 20世紀当初、ラモン・モントヤやカルロス・モントヤがフラメンコの独奏をするようになった。ギター中心のコンサートスタイルが始まった。
  3. ニーニョ・リカルドやサビーカスがフラメンコの独奏による演奏を広め、コンサートスタイルのフラメンコを創り上げた。
    *フラメンコの伝統的なスタイルの上にコンサートスタイルの演奏形式が確立されていった。
  4. ニーニョ・リカルドから影響を受けたパコ・デ・ルシアやビクトル・モンヘ・セラニート等がフラメンコ演奏に新しい技法を編み出し、演奏技術の革新を図った。それまでのフラメンコ演奏が、簡素な形式の中に情感のある神秘的な雰囲気を表現しようとしていたとすれば、パコ・デ・ルシアやビクトル・モンヘ・セラニート等は、複雑な技巧を使い伝統的なフラメンコを華やかに演奏しようとしたと言える。
  5. パコ・デ・ルシアから影響を受け手本としたトマテイートやビセンテ・アミーゴ等が活躍する時代に入った。(現在)
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「アラ還」世代のOB/OGから50周年に寄せて 12代

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