スペイン紀行(第四回)―セビージャ.コルドバ
第四回の旅は、セビージャからスタートです。
セビージャは、アンダルシア平野を流れ大西洋に注ぐグアダルキビール川の河口から100km上流に位置しています。
歴史的には、他地域と同様に8世紀以降にアル・アンダルス(イスラム・スペイン)の一部となりましたが、レコンキスタにより1248年には開放されました。
セビージャ、コルドバに縁のある人物の紹介です。
芸術関連で、ディエゴ・ベラスケス、バルトロメ・エステバン・ムリーリョがこの地で生まれました。
ギター関連で、ホアキン・トゥリーナがこの地で生まれました。
それでは、トゥリーナ作曲の「セビリヤーナ」でも聴きながら写真と説明をみて、スペインの旅第四弾を味わっていただければと思います。
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1492年にコロンブスがインドを目指して東回りでなく、3隻の船で西回りに出港したのは、グアダルキビール川河口近くのパロス・デ・ラ・フロンテーラという港でしたが、今は当時の面影はなく、その後南北アメリカ大陸発見に伴うスペインの隆盛にしたがい、その中心地はセビージャに移りました。中世より街のシンボルとして位置している黄金の塔は、グアダルキビール川沿いに建っている有名な塔です。ここで改めて、歴史の大きな潮流のおさらいです。ルネッサンスは13世紀から15世紀末、大航海時代は15世紀から17世紀末で、宗教改革は16世紀初からでした。そして、スペイン黄金の世紀は、16世紀中から17世紀初です。ちなみに、芸術では、ゴシック様式は12世紀中から13世紀で、バロック様式は17世紀初から18世紀中でした。
セビージャは日本とも縁が深く、1612年に仙台藩主伊達政宗の命を受けた家臣の支倉常長一行がセビージャを訪れています。数名はこの地に残り、その子孫でハポンという名前を持った方々が相当数おられるそうです。その村の名は、コリア・デル・リオ。
さあ、旅のスタートです。ムリーリョ公園沿いにコロンブスの記念塔(サンタ・マリア号の塔)が建っています。
スペイン広場は、1929年にこの地でイベロアメリカ万国博覧会が開催された際に建設されたゴシック様式による立派な建物とその広場です。
円弧状に囲む建物の外周にはスペインの各県の地図とその地の歴史的特徴を現したタイルアートが長椅子状に並んで配置されています。写真はセビージャとコルドバに関するものです。
時間があればじっくり鑑賞したかったのですが、一部だけを写真に撮れました。
次に訪れたのはセビージャ大聖堂ですが残念ながら外観だけでした。
内部には新大陸の発見という偉業を成し遂げたコロンブスの立派な棺があります。建物の外観も特徴的でヒラルダの塔(旧モスクのミナレット:鐘楼)が見えます。
もっと残念なのはアルカサル(王宮)ですが外観さえも見ることができませんでした。アルハンブラ宮殿の内装に似せて作った部屋がいくつかあるそうです。実感で比べられたら感慨も一層増すことでしょう。
イスラム文化のなごりを留めた広場には立派な噴水とタイル張りの長いすが柑橘系の木々に囲まれてさり気なく置いてありました。
また、この地でもユダヤ人の痕跡を留めた狭い路地と窓辺に置かれた植木鉢に咲く花々が印象的です。
先ほどの中庭や花を見ると住んでいる人々の心の安寧が感じられます。
次に訪れたのは、コルドバです。アルベニス作曲タルレガ編曲の「パバーナ・カプリッチョ」でも聴きながら、スペインの旅第四弾後半を味わっていただければと思います。
セビージャからは、距離にして北東へ120kmを移動です。
途中、おなじく赤茶けた台地がどこまでも広がり、眠気を催しますが、何か変わったものがあるはずと構えていました。出会えたのは、三本の通信塔?の上に作られた三組のコウノトリ(実際はシュバシコウ;朱嘴コウ:日本(アジア)のコウノトリとは目、科、属までは同じで別種)の巣とその番いでした。
ただし、夏には、広大な台地をひまわりが咲き誇り一面を黄色い絨毯で覆いつくすそうです。季節は、今は冬。
突然ですが、ここで、一首。
・・・コウノトリ 誰が語らん グラナダを
アルハンブラの 思い出と飛び・・・
グアダルキビール川に架かるローマ橋は、名のとおり、ローマ帝国がこの地を支配していた時代に作られたものです。
橋を渡るとそこには、メスキータ(モスク)がすぐ間近に圧倒的な威厳を保ち建っています。
門をくぐり、メスキータの中に入ると少し薄暗い広大な空間に柱とその柱を支える赤茶色のレンガと白色の石灰岩を組み合わせた2重アーチ状の枠組みが特徴的です。
二万人のイスラム教徒が一同に介してお祈りを捧げていたとのこと。イスラム教からキリスト教に支配が代わった(1236年)あともほとんどが残され、中央の一部にキリスト教の礼拝堂が建立されました。
ゴシック、ルネッサンス、そしてバロックの様式を取り入れた超豪華な装飾がなされています。別の門から外にでると、そこはメスキータのオレンジの中庭で、改めてみた外観です。
さあ、次回は、いよいよ旅の最終地のマドリッドとトレドの観光です。
マドリッドまでは、コルドバから400kmほど北上します。バスの移動は今回の旅で最長、時間も5時間、長旅です。