染谷 正雄
応募を知ったのは去年(2012年)8月頃だったか、日本ギター合奏連盟からのお知らせであったと思う。受付は10月~2013年6月末締め切り。募集のコンセプトが「アマチュアの合奏団でも弾き易く楽しめる曲」だったので、これなら勝負できるかな、と気が向く。普通の和声の曲はまだ自信が無いので、日本の和声のあの「秋の祭り」か「砂山幻想曲」にしよう。うーむ5分以上か?「秋の祭り」の方が纏まっているが、確か3分位だったなぁ。もう一度坊田かずまさんの教科書を勉強し直して、何とか時間を伸ばして「秋の祭り」にしようと決意。坊田かずま氏の本を復習した。今まで曲に付けていた和声はだいぶ違っていた…。2013年5月。和声は付け直し、間に新しい旋律を作り出して纏め終わった。Finaleで楽譜作成。MIDIも入力。6/21応募曲を送る。9月頃審査かなぁ。と忘れることにした。
ところが7/22に、突然合奏連盟からメールがあった。何かなぁと開くと、「おめでとうございます!この度ご応募されました 秋の祭り が予選を通過しました。」の文字が…。それでも、予選通過か、5~6人くらいは選ばれたのかなぁ、と合奏連盟のHPで確かめたら、なんと3人だった。おう、これで3位は確定か。何というか、嬉しさがじわりと。他の2人をググルと予想通りプロの方だった。おまけに一人はアメリカの大学の音楽の女先生。なかなか美人。もう一人はどうやら新堀育ちの作曲家。この時点で1位はアメリカ女性(オルガ=アメルキーナ・ベラさん)、2位は新堀育ち(畑中雄大さん)と予想を付けた。3位で十分だとは思っているが、万に一つ2位にでも…。それにしても作品は出品済みで、これから「頑張ろう」にも「頑張れ」ないので、「俎鯉状態」が3ヶ月も続くのであった。
10月27日。やっと当日が来た。9時に練馬文化会館に集合とのこと。行くと、まだ受付の机を用意している最中だったりする。一応名前と着いたことを近くの方に伝える。しばらくして、舞台まで案内される。畑中雄大さんとも一緒になったので挨拶、若い27才。リハーサルとして9:20~50が私の持ち時間。私だけ残って畑中さんは外で待機。演奏して下さるクアトロ・パロスの4人と挨拶。早速聞かせていただく。各人とても綺麗な音色で、表現豊かに演奏して下さった。私の作品ってこんなに綺麗だったのか!と言うのが第一印象。正直にそう言ったら4人さん嬉しそうだった。それから、低音の処理とか、アクセントの付けたいところ、バランスが気になるところ、などを指示させていただく。あっという間に30分の受け持ち時間は過ぎてしまった。本番はよろしく、とクアトロ・パロスの面々に挨拶をして畑中さんと交代。ホワイエに行くとオルガさんが親指を出して「Good!」の仕草。モニターTVで聞いていたらしい。畑中さん、オルガさんのリハーサルも終わって、3人が舞台に集合。演奏順を決めるとのこと。福ちゃんこと伊東福雄さんがトランプを3枚並べて、それぞれが選択する。畑中さん1番手、オルガさんが2番、私は最後になった。
さてと、本番は2時10分頃。それまでは暇である。建物内をうろちょろする。
11時20分開演となる。いろいろな形体、人数、曲、上手い団体から、ううむ?まで何組も登場。
12時になったので、昼食をと外に出る。成田の合奏団から5人ほど来てくれて、一緒に駅の方に向かう。どこも込んでいて、結局駅前のモスバーガーでハンバーガーを買って、文化会館のロビーで頂いた。
午後また合奏を聴く。
2時、家族も来てくれる。さあて本番だぞ。
前の方の席に3人座る。1曲目は畑中さんの「ジャズ舞曲第7番水の踊り」。早いパッセージが続き、各パートで丁々発止のやり取りが続く。目まぐるしいが、それだけの効果のある纏まった曲だ。さすがだ。2曲目はオルガさんの「Cattywampus Rompus(Texas Tarantella)」。これも素早いパッセージが行き交う曲だが、ユーモアまでも感じさせる素晴らしい曲。3曲目は私の「秋の祭り」。最初から前2曲とは趣が違う。難しいところも無く、演奏はとても素敵だった。畑中さんは「ジャズとタランテラのアメリカ、日本の曲と、どう評価するのでしょうね?」とおっしゃっていた。まったくその通り。曲の出来は私が前に感じていたとおり、オルガさん、畑中さん、私だろう。私の曲の出来は2曲に水をあけられた感じだ。
休み時間に知り合いと挨拶。意外な方ともお会いしたりして。
第4部は席を家族の近くに移動し、最後まで合奏を楽しむ筈…が、楽しめる気持ちじゃあないね。ふわふわした気持ちがづっと続く。
第4部終了そして、結果発表。3人が袖に集まり、いざ舞台へ。気持ちは高揚したり、へこんだり、とにかく落ち着かない。まあ、結果は予想通りであったが、委員長の二橋さんの発表の言葉は「「アマチュアの合奏団でも弾き易く楽しめる曲」というものの、曲の完成度を中心に考えて決定した。」。そして2人の作品の講評を述べただけだった。私の作品は講評するまでもない…のかなぁなどと落ち込んでしまった。順位とは別のHarumi賞は1位のオルガさん作品。最後が聴衆が決める「聴衆賞」。これを私が頂いた。とても嬉しかった!!
あとはセレモニーで、よく憶えていない。
打ち上げは近くの飲み屋さんで開かれた。知り合いがいないし、家族は別の場所で待っているというので、1時間くらいで切り上げようと思う。
しかし、いつもは現代ギター誌上でしかお目に掛かったことがないギター界の方々ばかりで、とにかく気後れする。目の前の席はあの藤井眞吾先生、その脇は現代ギター誌の中里編集長さん。佐藤弘和さん、篠原正志さん、大橋正子さん…。受賞の言葉を発表する(させられる)が、気持ちがうわずっている。日本和声の坊田かずまさんの事などをしゃべった気がする。6時過ぎ、そうそうに退散。その間際に加藤繁雄先生の言葉「聴衆賞を受け取られるときが、嬉しそうでしたね。」でほっと出来た。
家族と合流して、帰途につく。
前列、左から4人目が本人です。
プロの作曲家を含んでの3位入賞おめでとうございます。さすがだね。
聴いてみたいけど、演奏の音源はありますか?
脇田
染谷さん、第3位入賞そして何より素晴らしい聴衆賞GET、おめでとうございます。
40数年のギター音楽への取り組みの結晶ですね。
私も「ギター友達」の一人として大変感動させられました。
今後も、作曲編曲活動や地元での活躍を陰ながら支援してます。
できうれば、合奏団トレドで「秋の祭り」が演奏できるよう、頑張りたいと思ってます。
トレドの指揮者・指導者として、これからもよろしくお願いします。
OBOG会&合奏団トレド事務局 原口