第4代 黒川
自動制御というものがある。これはあるところに落ち着かせたい、もって行きたいという目標に対して制御対象を持っていくものだ。身近にいっぱいある。エアコンの気温調節もそう。寒いときに25度に設定すれば、暖かい空気を出し室温が25度に近づいてくると段々風量を落としていき、25度になれば止まる。また室温が下がれば運転を再開するというもの。
これに必要なものがある、それは室温を感知するもので、これからの情報と25度という設定値とを比べて運転の状態を決める。感知―報告―判断―命令―動作というサイクルが回っている。感知するものをセンサーと言う。
室温の制御というゆっくりしたものでなく動作の速いもの、例えば自動車やロケットなどの自動制御ではこのサイクルが非常に速いものと考えられる。
さて本題。長い間ギターに触っていなくて、練習を再開しトレモロを練習していたときに感じたこと。指を動かしその情報が脳にいき、それから命令がきて指が動くというような感覚が判ってしまうくらいサイクルが遅かった。まず指の動きだけでなく、脳と、センサーである指の感覚の連携の速さにも気を使って練習した。また、最初、トレモロを弾く右手の4本の指は(私の場合p-a-m-i-p-a-m-iの順)その順に自律的に動くような感じで弾いていて、脳が弾き始めの命令を出せば後は指の勢いだけで弾いているといった状況だった。先の例でいくと感知―報告の部分をフィードバックと言うが、指からのフィードバックはほとんど脳に届かず、脳からの命令も無く、指だけで動いていたわけ。これは自動制御の中の一分野としてあるもので、開ループ制御と名前がついている。畑に水をやるのに決まった時間に決まった水量を出すシステムを考えてみよう。これは目標が変わったときに対処できないという欠点がある。雨が降ろうが、土がからからに乾燥していようが同じことをやる。これに対し、感知―報告―判断―命令―動作というサイクルをもつものは閉ループ制御と呼ばれている。前の例の場合、土中の水分を計るセンサーを設けて、水分が多ければ供給水量を減らし、乾いていればたくさん撒いてあげるというわけ。
きれいなトレモロを弾く人は自分の音・指の感覚などを一瞬一瞬感じながらしかもそれに脳が対応しながら弾いていると思う。センサーと、そしてそれと脳の連携に素晴らしいものがありさらにそのサイクルが速いのだろう。閉ループ制御のスピードについていくセンサーと脳とを鍛えなくてはいけない。
おもしろいですね。
最近、姑が補聴器を、使い始めたのですが、
ヒトの耳の機能ってすごいんだなと思わせられる事が
たくさんあります。
音を、再生する事って細かいたくさんの事を集めて
組み立て可能になるんですね。
弟が補聴器の会社に勤めていたのですが、補聴器で
元通り聴くのは無理だといってました。
そこを仕事にしていたなんてね!
すごいですね。
「ひとの耳が二つの音の違いを聴き分けるのだけれども、
測定器ではなかなかその差を検知できない。」というのはよくある話でした。
昔、これを使えばその差を検知できるのではないかという測定器があって、
それは基本となる信号の1兆分の1の小さい差を検出する物でした。
それも色々な要素の内のたった一つだけしか測れないものでした。
ある雑誌でその測定結果と聴覚の結果を結び付けようとした記事がありましたが
ほかの要素が分からないものですから中途半端に終わっていました。
オーディオの世界というのはこんなものでした。
今は、視聴室という現場から遠ざかり、年齢も重ねて、
若い頃の感覚はもうありません。
でもひとの感覚の微細さに触れて驚いた経験は貴重だったなと思っています。
また逆に、人の耳は騙されやすいということもあります。
MP3という言葉を御存知でしょうか。
今多くの人がヘッドフォンやイヤフォンで聴いています。
そしてそのほとんどがこのMP3という規格で圧縮された音源で聴いているのです。
「圧縮」。つまり元の音を変形して元のデータ量から少なくして(圧縮)、
カードなどの記憶メディアにたくさんの曲が録音できるようにしたものです。
大きな音に隠れる小さな音など、不必要と思われる部分はカットされているわけです。
一時期はやったMDも高度な圧縮技術で録音しています。
このような変形された音に席巻されているのが今のオーディオ界なわけです。
圧縮音源は特には使わないという生活をしてきましたが、
知らず知らずのうちにYOUTUBE上の音源を視聴し、圧縮音源に浸食されて来ているのが最近の私です。