前に書いた記事の中で、ブリッヂの近くを弾くと倍音が多く、遠くを引くと倍音が少なくなる、という意味のことを書いた。それがどのようになっているのか自分でも目でみたくて表計算を使ってやってみることにした。そのワークシートが別掲載されているのでダウンロードして試用してみていただきたい。本稿はその使い方の説明です。 [ファイル:エクセルで倍音(再修正版)]
結果はブリッヂから遠ざかるにつれて高い成分から低い成分にだんだん移行していく様子が見れた。決して倍音が多くなったり少なくなったりではないことがわかった。
それから、倍音に関する一連の記事はあくまで弦だけの振動を簡略化・理想化して見ているもので、
1.胴体その他の影響は考えていない。
2.弦の振動する長さというものは、ナットとブリッヂの距離で決まるのではなく実際の節の
位置はそれよりも少し内側にある。
などということに注意をしていただきたい。たとえそうであっても、ざっとの感じはつかんでおいたほうが良いのではないかというのが考えです。
では、その手法の説明と実際のワークシートの使い方を紹介します。
仮定
1.倍音の節にあたる箇所を弾くと、その倍音の一番小さい音がする。
2.倍音の腹に当たる箇所を弾くと、その倍音の一番大きい音がする。
3.節と腹の中間はそれらの中間で、節に近いと小さく、腹に近いと大きくなる。
目標
1.ある点(ブリッヂの骨棒から何ミリの距離の所)を弾いた時にどんな倍音が出やすいのか。
好みの点の距離を入れると、そこを弾いた時の倍音が色の濃さで出てくる。
そのときの弦長も任意で入力できる。
2.弾く場所をブリッヂに近いところから始めてだんだん遠くしていったら、倍音はどのように
変わっていくのか。一覧で見れるようにする。
このときの弦長も任意で入力できる。
この2種類を今回エクセル上でやってみた。
手法
弦長と弾弦位置(ブリッヂからの距離。[mm])を入力値とする。
弾弦位置が各倍音の腹と節の間のどの位置にあるかを割合で計算する。
結果の表現
腹のときを10。節のときを0。として0から10の数字で表現した。
0から10を4段階の色の濃さで表した。
8から10:一番濃い
4から8:中間
2から4:薄い
0から2:白色(着色なし)
使い方
ワークシートが3枚あります。
1枚づつ説明します。
1.1箇所を弾いた場合
自分の楽器の弦長を入力する。
ここを弾いたらどうなるのか知りたい場所の位置を入力する。
この2箇所を入力すると、すぐに倍音の強さが色分けされて表示される。
2.弾弦位置が等間隔
弦長を入力するだけで、40mmから200mmまで弾弦位置を10mm間隔で計算します。
パターン状に観察できます。
3.弾弦位置が倍音の腹
弦長を入力するだけで、弾弦位置が倍音の腹にあたる位置を弾いた場合を計算します。
パターン状に観察できます。
以上です。使い方は易しいと思いますので、是非試してみてください。